研究課題/領域番号 |
02041066
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川島 健治郎 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30038690)
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研究分担者 |
KETUDAT P. スリナカリンウイロート大学, 理学部, 助教授
THAITHONG S. チュラロンコン大学, 理学部, 教授
SINGH M.S. イースイースタン医科大学, 教授
SINGH T.S. イースイースタン医科大学, 助教授
柴原 壽行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70116937)
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キーワード | Paragonimus / Taxonomy / Bionomics / Host specificity / Karyotype analysis / Isozyme analysis / India / Thailand |
研究概要 |
ウエステルマン肺吸虫(以下ウ肺吸虫と略)の原記載に一致する集団を特定するために昨年度に引き続き研究を行った。また、これまで未調査のタイ南部でも調査研究を行った。昨年度、インド・マニプ-ル州で得た36個体の肺吸虫幼虫(以下Mcと略)のうち、その形態からウ肺吸虫に類似の2個体につき、ネコへ感染実験をした。本年度、135日後にネコを剖検し、2個体の成虫を得たが、その形態はKerbert(1878)の原記載には類似するが細部において異なり、別種である可能性が大きい事が判明した。引き続き国外では、1991年9月23日から10月16日の間、インド・前記の州で、また、同年10月16日から10月29日の間、タイ南部で調査研究を行った。インドでは、カニPotamiscus manipurensis570個体から843個体の肺吸虫Mcを得、実験動物に感染させ経過観察中であるが、Mcの形態から、westermani(ウ肺吸虫)型、heterotremus型、bangkokensis型および従来記載のない型などに類別出来た。成虫が得られた段階で、詳細な研究を行うが果この地域で流行する肺吸虫症の病原虫としては複数種が複雑に関与していることが推察された。タイ南部では、35個体のカニRanguna smalleyから肺吸虫Mc大型17、小型1を、さらにカニPhricotelphusa spp.の170個体から肺吸虫Mc大型8、小型747を得た。これらは、実験動物に感染させ経過観察中である。大型のものはウ肺吸虫に類似しているが、小型のものは、これまで類似のものは見い出されていない。以上のようにインドおよびタイにおいて膨大な数の肺吸虫Mcを得、現在、動物実験により経過を観察中である。成虫が回収された段階で、当初からの予定の研究を遂行する。しかし、多種・多形の肺吸虫Mcの発見から、本研究における生物学的研究の遂行と同時に、これらの地域における肺吸虫と肺吸虫症について病原虫の種類や感染経路を含めた疫学調査など、医学上の重要課題の解明が急がれることになった。
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