研究分担者 |
牧野 久美 慶応義塾大学大学院, 大学院生
日野 宏 天理大学, 附属天理参考館, 学芸員
山内 紀嗣 天理大学, 附属天理参考館, 学芸員
置田 雅昭 天理大学, 附属天理参考館, 学芸員
市川 裕 筑波大学, 地域研究科, 講師 (20223084)
月本 昭男 立教大学, 一般教育部, 助教授 (10147928)
定形 日佐男 プール学院短期大学, 英文科, 教授
清重 尚弘 ルーテル神学大学, 学長 (50097143)
石川 耕一郎 昭和大学, 教養部, 教授
小川 英雄 慶応義塾大学, 文学部, 教授 (30051379)
|
研究概要 |
平成2年度はイスラエ国のエン・ゲブ遺跡の地形測量と発掘調査を行った。以下のその概要を記す。 高さ約12mの遺跡の北端部の東斜面に,東西5m,南北25mの発掘区を設定し,それを5つの区画(西から東へ11M,11N,11O,11P,11Q)に分けて掘り下げた。最上層部には11N区を中心に丸石で囲んだアラブ期の基と,幅約40mの石囲いの水路(海面下195.7〜195.9m)がみられた。第1層は11M区から11P区に表れた大型建造物の石壁基礎部分(幅約1m)である。その建物は長さ17mに達する(西南西〜東北東方向)。高さは丸石が2段しか残らず,石組法は粗末である。この層は初期ヘレニズム時代(前3世紀)の破壊によって終っている(海面下195.9〜196.4m)。第2層から第4層までは鉄器時代第2層(前8〜9世紀)に相当する。第2層は11N区から11Q区に見られる大型建造物の石組の壁(幅約1m)を中心とする(海面下196.4m以下)。建造物の北辺はほぼ東西方向に約18mに達し,高さは約1.3m,6〜7段の丸石からなる。又,南西隅(11N区)と東北隅(11Q区)には一辺1mに及ぶ直方体の大石が置かれている。周囲には破壊されたレンガ材,石材があった。この石壁の石囲い溝は海面下197.5m前後に置き,第3層の大小の丸石による広範な床面(11O区〜11Q区)の一部を破壊している。この床面は厚い土盛の上に作られている。11M区において見出された小石の石敷面や石組はこの層に属する可能性がある。この大量の土盛のり中より,幅約60cmのきちんと置かれた東西方向の石列が表れた(海面下197.7〜197.8m以下)。これを第4層とする。 今後継続して調査を行えば,これらの鉄器時代建造物が,イスラエル人とアラム人の戦争,アッシリアの侵攻などの歴史事件と関連づけられるであろう。
|