研究課題/領域番号 |
02041098
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
片倉 素子 国立民族学博物館, 第2研究部, 教授 (60055308)
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研究分担者 |
鷹木 恵子 桜美林大学, 国際学部, 専任講師 (60211330)
加納 弘勝 津田塾大学, 学芸学部・国際関係学科, 助教授 (20214497)
奴田原 睦明 東京外国語大学, アラビア語学科, 教授 (80014504)
石田 進 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (20011976)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 文化接触 / 文化融合 / 文化摩擦 / 共存 / 移動 / 湾岸 / 沿岸 / ムスリム都市 |
研究概要 |
「沿岸ムスリム都市における文化接触の総合的研究」の最終年度であるので、従来の成果をもとに、研究者全員で討論をかさね、調査もれのないよう、万全の準備をととのえて、調査研究にのぞみ、前年度までに現地調査で各研究者が確立したラポ-ルにもとづいて、全面的な追跡調査をおこなった。また、今年度は、湾岸危機のため前回調査できなかったクエ-ト、アブダビ、イスタンブ-ルで比較の視点をもって調査をおこない、所期の目的をほぼ完了することができた。 各自が研究をすすめるにあたり、共通の調査項目として、調査対象の都市の人口構成と動態を把握することにつとめ、最新の資料・情報の収集、政府関係者からの事情聴取等をおこなうとともに、この問題に関する政府側の方針、政策と一般の人々の側のストラテジ-の相違点を、ライフヒストリ-の聴きとり調査等により比較研究した。 前年度来、共通テ-マである「文化接触と融合」のもとに下位の鍵概念として「共存」と「移動」をもうけていたが、「移動」に関しては、巡礼・出稼ぎなど国外への移動、農民・海洋民・遊牧民などによる国内の移動、通学・通院などの日常的な移動がどのようにおこなわれているかについて、その手段、費用、距離、頻度、いつ、どういうときに動くか、移動のパタ-ンまたは傾向などについて調査をおこなった。「共存」に関しては、街区のすみわけ、ス-クの構図、宗教的施設、教育施設、墓地などを手がかりとして、都市の記号論的分析をおこなった。 前年の調査では、湾岸危機のさなか、およびその直後の調査地において常態においては隠れていて見えにくい社会の潜在的要素が、表面にあらわれてくるという現象、非日常的な事件がおこったときに人々がみせる反応などを参与観察したが、その後1年たって人々の生活がどのようにかわったか、あるいはかわらなかったかを追跡調査することができた。とくに急激な物価の上昇、人的ネットワ-クの変化などの影響が、人々の日常生活におよぼす変化を観察することができた。 各研究者とも、調査で得られた資料の整理分析をおこない、報告書の執筆準備をすすめている。それらの調査報告は、個別に、あるいは共著で学術雑誌などに論文の形で投稿したり、民族学会、社会学会、中東学会などにおいて、学会発表のかたちで研究成果を公表していく。そののち、ペルシャ湾沿岸ムスリム都市と、地中海沿岸ムスリム都市の比較をする研究会をもち、沿岸ムスリム都市に関係する調査報告論文集を、1冊の本にまとめる予定である。
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