研究課題/領域番号 |
02041102
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
秋道 智彌 国立民族学博物館, 第1研究部, 助教授 (60113429)
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研究分担者 |
須田 一弘 日本学術振興会, 特別研究員 (00222068)
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 専任講師 (30217210)
後藤 明 宮城学院女子大学, 短期大学, 助教授 (40205589)
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キーワード | 水産資源管理 / 海面利用規制 / 小規模沿岸漁業 / サンゴ礁海域 / 慣習的行動 / 魚食習慣 / 技術援助 / 適性化 |
研究概要 |
パプアニュ-ギニア国では、西部州ダル-周辺の砂泥海岸に立地するOld Mawata(須田)とKatatai(田和)において調査をおこない、1.生存漁撈と商業漁撈の矛盾:アオウミガメやジュゴンの生存漁撈は容認されているが、現金獲得のための商業漁撈もおこなわれている、2.ロブスタ-漁のための潜水者を雇用・組織化する局面で、小集団間での人的な流動性がおこっている、3.ナマコ漁の浸透により、資源の乱獲が急速に進行している、4.商業漁撈では販売魚種が限定されることから、多様類の魚種を捕獲する小規模漁業の経済性が低下し、社会矛盾を内在化している、といった諸点があきらかになった。5.国境地帯にある小都市センタ-の存在が資源利用にあたえる影響は、オセアニアのなかでもきわめて重要な事例を提供するといえる。 ソロモン諸島では、マライタ島のLau礁湖(秋道)、Langalanga礁湖(後藤)において調査を実施した。その結果、6.ラグ-ンにおける所有海域の利用形態を、漁撈民と農耕民との交換体系のなかで意義づけることができた。7.ナマコ漁という商業的漁撈が、地域により異なった形で浸透している。8.ガダルカナル島へ商品としての魚を売るため、小規模なグル-プにより漁撈が組織化されつつある。9.タカセガイ漁については自主規制の伝統が生かされているが、夜間の潜水突き漁やエビ捕獲漁により資源の減少が憂慮されている。10.地方市場にやける計測結果から、イモ類と魚介類との取り引きにおいては、魚類の値段が重量に比してたいへんに割高になっている。以上の諸点から、11.水産資源の自給用以外の需要が都市化、現金経済の浸透により上昇している一方、流通上の未整備と、従来からの漁撈様式に加えて捕獲圧の高い漁法が資源減少をもたらす引き金になっていることがわかった。
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