研究課題/領域番号 |
02041104
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研究機関 | (財)日本モンキーセンター |
研究代表者 |
河合 雅雄 財団法人 日本モンキーセンター, 所長 (10027477)
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研究分担者 |
ベケレ A. アジスアベバ大学, 理学部, 講師
宮藤 浩子 財団法人 日本モンキーセンター, 研究員 (10205099)
岩本 俊孝 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (40094073)
庄武 孝義 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00003103)
森 明雄 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50027504)
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キーワード | 霊長類 / マントヒヒ / ゲラダヒヒ / 雑種ヒヒ / 個体群 / 遺伝的変異 / 採食生態 / コミュニケ-ション |
研究概要 |
本研究は、アフリカ乾燥帯に生息する霊長類の代表種であるヒヒ類の生態、社会や遺伝的変異を総合的に調査し、ヒヒ類の進化過程を解明することを目的とする。エチオピア南東部のワビシェベリ川流域にはアヌビスヒヒ、キイロヒヒ、マントヒヒ、ゲラダヒヒと雑種ヒヒが、高地平原、低地平原、その境界となる崖地などの多様な環境に生息している。 ワビシェベリ川流域での広域的な分布調査では、東部地域のキイロヒヒの生息、北西部のアルシ地方におけるゲラダヒヒとマントヒヒの同所的生息を発見した。この地域のゲラダヒヒの報告はこれまでになく、エチオピア北部に生息するゲラダヒヒと外部形態が異なることから、次年度に行なう遺伝的・形態的変異の詳細な調査によって進化史が明らかになると期待される。 マントヒヒと雑種ヒヒ(アヌビス-マント)の個体群構造の調査では、雑種化の程度が流域の地形と深く関わることが明らかにされ、雑種化のメカニズムについての新仮説が提出された。次年度も、グル-プ構成や遺伝的変異の詳細な調査、解析を行なう。 標高2000mの高地平原とそれに連なる崖の上を遊動するマントヒヒの生態、社会はこれまで調査の進んでいる低地帯のマントヒヒとは異なることを示唆するデ-タが得られている。採食生態の調査から、同じ環境に住むゲラダヒヒと共通の特徴があることもわかった。両種の違いを同一環境で比較することにより、両種が異なった環境へ種分化していった過程を分析できるだろう。引き続き、両種の活動時間配分を解析し両種の同所的生息がどのように実現されているのかを明らかにする。また、グル-プ構成や音声コミュニケ-ションも特徴的であることが明らかになった。現在、これらを社会構造との関連から分析している。
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