研究分担者 |
CHAWALIT Pai Khon Kaen大学, 医学部, 助教授
WITAYA Thama Mahidol大学, 医学部, 助教授
伊藤 誠 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90137117)
白井 智之 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (60080066)
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研究概要 |
タイ東北部 Khon Kaen地方はOpisthorchis viverrini(OV)の高感染地域であるが肝内胆管癌の好発地帯でもあり,胆管癌発性がOV感染と深く係わっていることが示唆されている。 本研究では次の4点について研究を行った。(1) Khon Kaen大学で摘出された肝内胆管癌38例の病理組織学的特徴を名市大で剖検された肝内胆管癌22例を対照としての比較検討。(2) Khon Kaen地方の底所得者に常食されている発酵魚の一つである Plara中の発癌物質の有無の追究。(3)OV治療薬であるPlaziquantelの肝発癌修飾作用のラットを用いての解析。(4) Khon Kaen大学の胆管細胞癌患者血清,胆嚢炎患者血清と対照としての日本の健常人血清について,OV成虫抗原に対する抗体を ELISA法,Immunoblotting法で追究。 その結果,(1) Khon Kaen地方の肝内胆管癌の特徴の一つは髄様構造をとる低分化型管状腺癌が多いことであり目下,症例を増加して検討中である。(2) Plaraについては6ヶ月発酵されたものの,アフラトキシンB_1,B_2,G_1,G_2,ステリグマトシスチン,オクラトキシン,ニトロソジメチルアミンおよびニトロソジエチルアミンの含有濃度を高速液体クロマトグラフ法とマスフラグメント法によって測定したが,いずれも測定限界以下であり,有意な量の発癌物質は認められなかった。(3)Plaziquantelについては,3000mg/kg胃内1回投与により,血清中のGPT,GGT,GOTが上昇するなど肝毒性が観察された。肝発癌修飾作用の実験では1.5%と0.5%の濃度で飼料に混じて,あるいは1500mg/kgの量を胃チュ-ブにて投与し,現在検討中である。(4)ELISA法では胆管細胞癌で11例中,陽性7,胆嚢炎で10例中,陽性2と胆管細胞癌で陽性者が多くみられた。Immunoblotting法では100KDの成分を中心に検出されこの100KDの成分が診断用抗原として有用と思われた。
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