研究分担者 |
カ゛ッチャシ F.N. ケニア林業研究所, 分類, 技術員
ムシュ E.N. ダレスサレム大学, 医学研究所, 部長
オゲット J.O. ナイロビ大学, 薬学部, 講師
ジュマ F.D. ナイロビ大学, 医学部, 教授
猪之鼻 由美 神戸女子薬科大学, 薬学部, 助手
立花 陽子 神戸女子薬科大学, 薬学部, 助手 (20207054)
戸部 博 京都大学, 教養部, 助教授
GACHATHI F. N. Head of Technician, Kenya Forest Institute
|
研究概要 |
ケニア国マダガスカル国及びタンザニア国の3ケ国における調査・研究の実績と成果は次の通りである。 1.ケニア国;調査地域はカカメガ,シンバヒル,カロレ-ニ,アバデア,ケニア山周辺(ニエリ,シリモン,チョゴリヤ)及びナイロビ周辺(アボレタム,カルラ,ムグガ)であった。 (1)カカメガ地域で、主にAulacocaly×laxiflora〔Rubiaceae〕を成分研究用の材料として約20kg採集し、この樹皮から化学成分としてイリドイド類を確認し、主成分としてgardenssedeを単離同定した。 (2)東海岸から僅かに内陸寄りのシンバヒル地域において、未利用薬物資源からの制ガン物質を検索する目的で、Cassipousea euryーoides〔Rhizophoraceae〕の樹皮を約10kg採集した。この材料について化学的な研究を行い新規の含イオウアルカロイドとして、guinesーineーD,euryoidine,rhizophrineを単離し、化学構造式を推定した。さらに、これらの化合物はEBウイルス活性化の抑制作用、即ち発ガンプロモ-ション抑制作用の試験に供する予定である。またシンバヒル地域のディゴ族が用いている伝承薬物の中から制ガン物質を検索する目的で、特にEuphorbioaceae植物を中心に約30種の薬用植物を採集し、その化学成分と制ガン活性を検討中である。カロレ-ニも東海岸から僅かに内陸寄りで、シンバヒルの北に位置する乾燥地帯である。ここに居住するギリアマ族が用いる伝承薬物の中から制ガン物質を検索する目的で、特にAnnonaceae植物を中心に約20種の薬用植物を採集し、これらについても、現在その化学成分と制ガン活性を検討中である。 (3)アバデア地域で採集したTabernaemontara johnstonii〔Apocynaceae〕から制ガン活性が期待される化合物が単離されている。その他、Maytenus undata〔Celastraceae〕などの制ガン活性が期待される植物を採集した。 ケニア山山麓では、シリモンル-トとチョゴリヤル-トの2ヶ所において調査を行い、制ガン活性が予期されるPhytolacca dodecandra〔Phytolaccaceae〕をはじめ、他の薬用植物約25種を採集し次いで分類・鑑定を行った。さらに、現在これらの植物について制ガン活性一次スクリ-ニングを準備中である。 (4)ナイロビ周辺では、アボレタム、カルラ森林及びムグガ地域において調査を行い、植物標本として約30種を採集した。その中で約15種のものについては、予試験的な活性一次スクリ-ニング及び成分研究が出来得る量であり、そのうち数種について、表1に示すように、植物の抽出物から調製した蛋白質分画のヒト及びマウスに対するマイト-ジェン活性について検討した。 2.マダガスカル国;ホルポイント地域の森林で、マダガスカル固有種のMacarisiapyramidata〔Rhizophoraceae〕を採集し、成分研究及び制ガン活性スクリ-ニングを検討中である。またアンタナナリボの市場生薬を調査・収集し、その中でCatharanthus lancens〔Apocynaceae〕は、民族生薬学的見地から制ガン活性が期待できる情報を得ているので、これを新しい科学的な方法、即ち各種の制ガンバイオアッセイを用い検討中である。 3.タンザニア国;ムプアプア地域に生育するCassipourea Mollis〔Rhizophoraceae〕採集し、含有する含イオンアルカロイド、その制ガン活性を検討中である。本植物はタンザニア固有種で、生理活性及び成分研究は今回が初めてであり、新規の成分が期待される。2及び3については、今回が最初の調査であり、期間も調査地域も少規模であったため、再度、調査・研究が必要と考えられる。
|