わが国における韓国人移民の肝がんの調査研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02042008
• 研究機関: 福岡大学
• 研究代表者: 重松 峻夫 福岡大学, 医学部, 教授 (60078756)
• 研究分担者: 桜井 幹己 大阪市立大学, 医学部, 教授 (90028316) ; 金 勇一 ソウル大学, 医科大学, 教授 ; 辛 海林 仁濟大学校, 医科大学, 助教授 ; 神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580) ; 崔 夏鎭 仁濟大学校, 医科大学, 教授 ; 朴 亨鐘 仁濟大学校, 医科大学, 教授 ; 安 允玉 ソウル大学, 医科大学, 助教授 ; 季 孝錫 ソウル大学, 医科大学, 助教授 ; 金 丁竜 ソウル大学, 医科大学, 教授 ; 三苫 むつ子 福岡大学, 医学部, 助手 (90090737) ; 古野 純典 防衛医科大学校, 教授 (70128015) ; 辺 秀俊 共和病院, 外科, 部長 ; 津熊 秀明 大阪府立成人病センター, 調査部, 係長 ; 日山 與彦 大阪府立成人病センター, 調査部, 主幹
• キーワード: 肝がん / B型肝炎ウィルス / C型肝炎ウィルス / 飲酒 / 在日韓国人 / 韓国 / 病理 / 疫学

研究概要

在日韓国人における肝がんリスクの著名な高まりの原因を明らかにすることを主要な目的として、平成3年度には次のような調査研究を実施した。
1.福岡県在日韓国人及び韓国韓国人の追跡調査
福岡および韓国において追跡コホ-ト集団を設定し、平成3年度にはそのうち、HBVおよびHCVの免疫反応検査を実施し、平成4年度より追跡を開始する。
2.肝がん症例対照研究
韓国内の肝がん罹患率調査の結果はプサン地区が高率地域であることが判明したので、先にソウル地区で実施した肝がんの症例対照研究と同じ手法を用いて、C型肝炎ウィルス問題を含めて症例対照研究を昨年度に引き続き実施した。
3.肝がんの血清疫学的研究
ソウル(韓国人)および福岡(在日韓国人)において、追跡コホ-ト集団を設定し、基礎資料の調査を終了し追跡を開始した。これら集団のHBsAg陽性率は韓国人(ソウル)は男12%、女10%と大阪日本人の5〜6倍の高率、在日韓国人も大阪で、男7.6%、女3.2%、福岡で男4.2%、女4.4%と高い。しかし、釜山の韓国人は2.5%(男女平均)で日本人と大差ない。HCV抗体陽性率は、韓国人(ソウル)は約1.5%で日本人と同様のレベルであるが、在日韓国人は大阪男6.6%、女5.7%、福岡男12.5%、女6.9%と高く、釜山の韓国人は在日韓国人に近い5.1%(男女平均)の高率である点は注目される。
4.病理学的比較研究
韓国および日本の間にliver cell dysplasiaの合併例に大差があり(韓国81%、日本31%)これを検討した結果、HBVとの関連が示唆された。

研究成果

• [文献書誌] 日山 與彦,津熊 秀明: "肝細胞癌記述疫学" 肝胆膵. 22. 339-344 (1991)
• [文献書誌] 日山 與彦,津熊 秀明,藤本 伊三郎: "慢性肝疾患と肝がん" 癌の臨床. (1992)
• [文献書誌] 辺 秀俊,日山 與彦: "在日韓国朝鮮人でのHCV抗体陽性率" 平成2年度特定疾患調査研究結果報告書(大阪肝炎・肝硬変研究会). 27-29 (1991)
• [文献書誌] Kojiro,M et al: "Morphologic transition in hepatocellular carcinoma" Cancer. (1992)
• [文献書誌] Kwon Yoo,Hyo-Suk Lee,and Chung Yong Kim: "Detection of HBV DNA in Patients with Chronic Liver Disease with Isolated Antibody to HBcAg Using the Polymerase Chain Reaction." Kor J Gastroenterology. 23. 469-474 (1991)
• [文献書誌] Yong Il Kim: "Morphometric Analysis of Cirrhotic Nodules in Hepatocellular Carcinoma-bearing Livers." Kor J Pathol. 25. 338-345 (1991)
• [文献書誌] Yoon Ok Ahn: "A Reconstructed Cohort Study on the Hepatitis B Virus Infection as a Risk Factor of Liver Cancer in Korea." J.Med Sci. 6. 319-324 (1991)