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1991 年度 研究成果報告書概要

アイスランドとその周辺での海底・陸上共同地震観測

研究課題

研究課題/領域番号 02044003
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関北海道大学

研究代表者

島村 英紀  北海道大学, 理学部・海底地震観測施設, 教授 (10011636)

研究分担者 SELLEVOLL Ma  ノルウェー国立ベルゲン大学, 地震観測所, 所長
EINARSSON Pa  アイスランド国立アイスランド大学, 教授
STEFANSSON R  アイスランド気象庁, 地震部長
末広 潔  東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20133928)
金沢 敏彦  東京大学, 理学部・地殻化学実験施設, 助教授 (30114698)
塩原 肇  北海道大学, 理学部・海底地震観測施設, 助手 (60211950)
RAGNAR Stefansson  Chief Geophysical Investigator, Icelandic Meteorological Office, Iceland
MARKVARD Sellevoll  Professor, Bergen University, Norway
PALL Einarsson  Professor, Iceland University, Iceland
研究期間 (年度) 1990 – 1991
キーワード大西洋中央海嶺 / 大西洋の拡大 / 海底地震観測 / 海底地震計 / 地殻構造 / 微小地震活動 / 震源分布 / プレ-ト・テクトニクス
研究概要

大西洋中央海嶺は、いまプレ-トが生まれている場所である。アイスランドは、その海底山脈がたまたま島になったところである。海嶺については、いままで精密に地下構造が調べられたり、地震活動が詳しく調べられたことはなかった。たとえば地震活動については、何千キロメ-トルも離れた陸から中央海嶺に起きる地震を研究するのが唯一の手段だった。一方、日本の海底地震計は小型軽量で高感度に作られており、数十台という多数の海底地震計を投入する結果得られる、従来よりもはるかに精密な微小地震活動の研究と、精密な三次元地下構造の透視など、地下構造の研究についても、他国をリ-ドしている。
このように中央海嶺付近は、その地球科学的な重要性にもかかわらず、いまだ、精密な観測のメスがはいっていなかった。今回の研究は中央海嶺上にあるアイスランドという希有な場を足がかりにして、世界でも初めて成功裏に行われた海底地震研究である。大量のデ-タが得られたために現在まだ解析が続いているが、画期的な成果が得られつつある。
具体的には1990、1991の両年とも日本から約20台という大量の海底地震計を運び、アイスランド近海で高感度の海底地震群列観測を行った。同時にアイスランド陸上には臨時に十数点の高感度地震観測点を設置して海と陸、双方から地震を追った。
1990年夏には、アイスランドから南西に伸びるレイキャヌス海嶺で長さ150キロ、幅40キロにわたる海域に18台の海底地震計を展開した。観測にはアイスランド気象庁とレイキャビック大学の全面的な協力が得られ、また海底地震計の設置と回収にはアイスランド側の全面的な協力を得て、同国の海上保安庁の船が借りられた。また設置した海底地震計の近くでは、同国のトロ-ル漁業を一カ月の観測期間中、遠慮してもらった。このため海底地震計すべてを順調に回収出来た。
この観測の結果、微小地震は海嶺軸に沿ってだけ分布しており、その幅はわずか5キロメ-トル以下であることが分かった。海嶺の両側では全く地震は発生していないことも分かった。そして微小地震は海嶺軸に沿って一様に分布しているのではなく、地震活動の高いところと低いところが発見され、しかも過去の海底火山地震活動との関連が明らかになった。
一方、微小地震の震源の深さは、海嶺軸から鉛直下方に伸びているのが分かり、しかもその深さは地下12キロメ-トルまで伸びていることが分かった。従行、海嶺軸下でプレ-トを生むマグマ活動がどのくらいの「根」の深さを持っているかはナゾであり、漠然と2、3キロメ-トルに違いないと考えられていたが、今回の研究によって、海嶺の「根」はずっと深いことが初めて明らかにされたことになる。また一カ月の地震観測期間中、二度にわたって群発地震が捉えられ、そのいずれもがごく細い煙突状の筒の中を震源が移動したことも確かめられた。このような海嶺の群発地震の詳細が捉えられたのも世界で初めてである。
1991年にはアイスランドの反対側、北側で海底地震観測を行った。この海域は新しいプレ-トを生んでいる大西洋中央海嶺が、複雑で百キロメ-トル以上もの幅にひろがったトランスフォ-ム断層をなしているところで、世界的にも地球科学の大きなナゾを残している場所である。このアイスランド北側から北大西洋にかけての大西洋中央海嶺で21台の海底地震計と約15台の陸上地震観測点が連携した微小地震観測に成功した。全ての地震計は無事に回収された。また、地下構造を研究するための人工地震実験も行って、従来ナゾだった地下構造を調査した。デ-タは現在、解析中である。
この両年度の研究で、従来の地震観測では把握することのできなかったアイスランド周辺の大西洋中央海嶺で何百個という微小地震を捉えることが出来て、地震活動がはじめて精密に分かり、また未解明だった地下構造が知られた。捉えた地震のマグニチュ-ドは1とか2とかの微小地震である。また、アイスランドの南北で明瞭に違う大西洋中央海嶺のそれぞれの活動について、世界でも初めての詳細な知見を得ることが出来た。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] T.Watanabe,H.Shiobara,T.Kanazawa,R.Stefansson,and H.Shimamura: "Microseismicity study on Reykjanes Ridge Crest Area Revealed by Ocean Bottom Seismograph Array." Geophjysical Journal.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] M.Mochizuki,T.Watanabe,H.Shiobara,R.Stefansson,and H.Shimamura: "Microseismicity study to the north of Iceland Revealed by Ocean Bottom Seismograph Array." Physics of the Planetary and Earth Interiors.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] B.Bryndis,H.Shiobara,G.Gudmundsson,and H.Shimamura: "Crustal sturucture study north off Iceland Revealed by Ocean Bottom Seismograph and Land-based seismograph Array." Physics of th Planetary and Earth Interiors.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] R.Stefansson,P.Einarsson,and H.Shimamura: "Seismic Activity beneath MID-Oceanic Ridge Crest Area Revealed by Ocean Bottom Seismograph Array." Geophysical Jounal.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 島村 英紀: "教室では教えない地球の話" 講談社, 270 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] T. Watanabe, H. Shiobara, T. Kanazawa, R. Stefansson, and H. Shimamura: "Microseismicity study on Reykjanes Ridge Crest area revealed by ocean bottom seismograph array" Geophysical Journal.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] M. Mochizuki, T. Watanabe, H. Shiobara, R. Stefansson, and H. Shimamura: "Microseismicity study to the north of Iceland revealed by sensitive ocean bottom seismograph array" Physics of the Planetary and Earth Interiors.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] B. Bryndis, H. Shiobara, G. Gudmundsson, and H. Shimamura: "Crustal structure study north of Iceland revealed by ocean bottom seismographs and land-based seismograph array" Physics of the Planetary and Earth Interiors.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] R. Stefansson, P. Einarsson, and H. Shimamura: "Seismic activity beneath mid-oceanic ridge crest area revealed by ocean bottom seismographic array" Geophysical Journal.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] H. Shimamura: Kohdansha, Tokyo, Japan. The Earth --- topics not taught in schools, 270 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1993-03-16  

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