研究課題/領域番号 |
02044026
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
土屋 俊 千葉大学, 文学部, 助教授 (50155404)
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研究分担者 |
ISRAEL David SRIインタナショナル, 主任計算機科学者
PERRY John ヌタンフォード大学, 哲学科, 教授
山田 友幸 北海道大学, 文学部, 助教授 (40166723)
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研究期間 (年度) |
1990
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キーワード | 情報の流れ / 言語行為 / 発話行為 / 行為の階層 / プラニング / 命題的態度 / 状況理論 / 状況意味論 |
研究概要 |
本研究は、計画時においては3年間にわたる研究であったので、本年度における研究成果は、全体計画の一部を占めるに過ぎない。今後、科学研究費補助金および共同研究相手国側の研究補助金などを利用して、当初計画にうたった研究目的を達成したい。本年度における知見は、主として、「情報の流れ」に関する基礎的概念の整備、談話の基本的構成要素である言語行為の構造に関する理論的研究、さらにそれらすべての基礎となる行為の構造に関する理論にかかわるものである。このうち、情報の流れの概念については、その基本的部分を論文の形で公刊することが決まっていた。また、行為の理論の基礎については、その人工知能に対する応用を国際学会において発表し、その論文集に掲載する予定になっている。 1.「情報の流れ」について 「情報とは何か」という問題に関しては、まず、情報媒体と情報内容という2つの概念を区別することから接近を開始する。 情報媒体とは、音声、画像、文書などの物理的対象であり、情報内容とは、それによって表現されている事実である。しかし、ここで重要なことは、情報内容が情報媒体の内在的性質によって一意的に決定されないということである。情報媒体がどのような情報内容を表現しているかということは、情報媒体の内在的性質とともに、その情報媒体がおかれた環境とその情報媒体との関係に依存して決定される。たとえば、誰によってどこで発話されたか、どのような物理的変化を経しているかなどにも依存する。したがって、情報の流れとは、この3種の要素、すなわち、情報媒体、情報内容、付帯状況の間の相互関係として規定されなければならない。我々が、現在とっている基本的な考え方は、システムの内部であれ、システム相互にであれ、一定の情報が流れるということは、ある状態と別の状態との間に物理的な変化がありながら、その2つの状態との間が表現する情報内容が同一であるという定義である。この定義を採用することによって、情報が流れること、情報が蓄えられること、同一の情報が異なる媒体によって表現されることなどが説明される。また、分散処理、並列処理など、現在の計算機科学において基礎付けを求められる概念に十分な解明を与えることができる。 2「行為」について 談話における発話は、まず第一に行為者による行為の一種であるので、「行為」の構造に関する基本理論を解明する必要がある。そのため、かねてより状況理論/状況意味論の枠組みの中で代表研究者、研究分担者が中心となって展開してきた研究をより一般的に述べることを試みた。それによれば、われわれが日常行なっている行為記述は、行為の結果内容に言及する命題的態度報告形式の部分と身体動作に言及する物理的描写の部分とが渾然としたものであり、従って、理論的扱いにおいては、この二つの部分を個別的に記述しつつ、かつ、両者を統合する機構が必要である。前者の部分を扱うために、ある動作にかかわる周辺状況を、その背景と結果とに二分して、それらを記述する枠組みを考案した。他方、身体を複数の作用器の構造をもつ集合としてとらえ、それぞれの作用器の動きの時系列にわたる集合として身体動作をモデル化した。次に、行為をこの身体動作の意味として定義し、身体動作の意味とは、背景と結果との関係であると下。このことによって、行為に関して日常的に理解されているほとんどの側面を明らかにすることができた。とくに、「一つの行為によって別の行為を行なう」という談話理解の基礎であるプラニング/プラン認知理論の基本概念を厳密に形式的に定義することに成功した。 これらは、行為一般の構造、とくに、談話理解の人工知能的アプロ-チに欠かすことができない部分的プランニング、資源制約的プラニングおよびプラニング理解の理論に対する基本的な貢献である。談話における言語行為の重層的構造の解明に役立つものでもある。 以上の研究成果によって本年度の理論的知見をもとにして、現在までに相互に訪問しあって収拾した言語デ-タを利用した実証的研究の段階に到達したということができる。
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