研究課題
今年度調査を予定していた寺北柴村・侯家営の両村は、外国人用宿泊施設の不備を理由に県当局が受れ入れを断ってきたので、戦前の『中国農村慣行調査』の対象となった他の二つの村に調査地点を変更した。そして日本側7名・中国側3名からなる調査団を組織して、北京市順義県沙井村および同市房山区呉店村を調査するとともに、県の公文書館で関連資料を収集し、現地の地方史研究者と交流会を行った。両村の調査においては、農民へのインタビュ-と世帯別アンケ-ト調査を実施した。沙井村では、高齢者を中心とする延べ25人の村民から、村の概況・歴史・経済・社会・教育に関する項目を聞き取り調査した。また呉店村では、延べ32人の村民から聞き取り調査を行うとともに、村委員会の経済関係の統計資料や貧農家史を借覧・複写した。今年度の調査によって、1940年代の調査報告に載せられている両村の家族のその後の歴史を追跡し、革命後の各種の変革が村の内部にどのような影響を及ぼしたのかを知ることが可能となった。録音した個別インタビュ-の記録原文は、南開大学歴史系の協力によってテ-プおこしが完了し、現在日本語訳を進めつつあり、調査の経緯・日程・県の概況と歴史・アンケ-ト調査の結果・統計資料・貧農家史等とともに、次年度調査の前に暫定的な報告集としてまとめる予定である。そして今夏の調査を踏まえて、更に内容の充実に努めた後、来春東京の内山書店より刊行したいと考えている。
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