研究課題
今年度の計画は、南開大学での国際シンポジウムにおいて華北農村社会に関する研究報告を行うとともに、呉店村の補充調査及び近隣村落・自由市場の調査を実施いる予定であった。しかし、シンポジウムにおける研究交流は実現できたが、呉店村の調査については国家教育委員会の「調査」許可が下りず、次善の策として、静海県口子門及び馮家荘(両村とも現在は天津市所属)において「参観」という形で一週間の調査を実施した。具体的には、この二つの村についてそれぞれ一日ずつ予備調査を行った結果、解放前に村内にキリスト教徒や白蓮教徒が存在すると同時に共産党の地下組織にもあり、村の共同慣行も形を変えつつ継承されている馮家荘の方に重点を置いて調査することとし、延べ42名の村民についてのインタビュ-調査並びに全戸を対象にしたアンケ-ト調査を行った。また、村の祭礼の際に老人会によって演奏される民俗音楽をビデオに収録した。インタビュ-テ-プを起こす作業については、南開大学の協力によって既に完了しており、現在整理中である。呉店村については、南開大学の共同研究者に同村まで赳いて関連資料を収集することを依頼した。昨年10月末、研究交流並びに今後の計画の打つ合わせのために左志遠教授・張洪祥副教授を招聘した際、両教授は日本側が依頼した房山区と呉店村の土地改革等に関する資料も持参された。両教授は、18日間日本に滞帯し、その間一橋大学・上智大学・大阪外国語大学・宇都宮大学で日本の中国近現代史研究者と研究交流を行うとともに、アジア経済研究所・東京大学東洋文化研究所等を訪問して関連資料を収集した。上記の呉店村調査によって得られた成果は、インタビュ-記録・アンケ-ト調査集計結果・貧農家史等を収録した報告集として本年6月の出版する予定である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (7件)