研究分担者 |
辛 占山 遼寧省文物考古研究所, 副研究員名誉所長
孫 守道 遼寧省文物考古研究所, 研究員名誉所長
郭 大順 遼寧省文化庁, 副庁長
廣川 守 (財)泉屋博古館, 学芸員
大貫 静夫 東京大学, 文学部, 助手 (70169184)
宮本 一夫 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (60174207)
岡村 秀典 九州大学, 文学部, 助教授 (20183246)
谷 豊信 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 文部技官 (70171824)
宇野 隆夫 富山大学, 人文学部, 助教授 (70115799)
伊東 太作 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 情報資料室長 (20000482)
澄田 正一 愛知学院大学, 文学部, 客員教授
SHUN Guo Da Deputy Director of the Culture Department of Liaoning Province
NISIMURA Yasusi Member, NARA NATIONAL CULTURAL PROPERTIES RESEARCH INSTITUTE
XING Su Xiao Deputy Director of LUSHUN MUSEUM
SHAN Xin Zhan Director of Liaoning Provincial Cultural Relics and Archaeology Research Institu
DAO Sun Shou Honorable Director of Liaoning Provincial Cultural Relics and Archaeology Resear
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研究概要 |
1,考古学的研究成果″考古学的研究″をいかに行なえるか,が最大の課題であった本研究も,中国国家文物局の許可もとり,水中考古学を除いて,新中国との初めての考古学的研究を成功させることが出来た。とはいえ,発堀調査に至るには未だ越えるべき障害が多く我々は考古側量調査を行なうことで,国際共同することが出来た。次に要点のみ記そう。 (1)平成2年;遼寧省凌源県三官甸子城子山城地の考古測量。夏家店下層文化期(前15〜10世紀頃)の城壁を回らした住宅地。(2)平成3年度の1;遼寧省阜新県化石戈郷南梁城地考古測量。夏家店下層文化期の城壁を回らした住居地。(3)平成3年度の2;遼寧省大連市金州区後石灰窯村大山頭積石杖の考古測量。青銅器時代初期の積石基群。(4)平成4年度;遼名省鳳城県赫家堡東山石蓋基群の考古測量青銅器時代初期の大石蓋基群。 以上のごとく,考古測量は遼西の特徹的文化の一つ,夏家店下層文化,遼東地区の特徹の一つ大石蓋基そして遼東半島の積石塚と,地域・文化様相共遼寧全域の″文明の源流″をカバーするものとなった。とりわけ,王山頭積石塚の考古測量は,当初計画の四平山積石塚が外国人立入禁止地区となり,調査不能となったのに代る成果となった。 考古測量の一方,それら遺跡ないし同種遺跡出土遺物の考古調査を行ない,既発表文献からでは得難い,実物資料による考古学的研究を行なうことが出来た。その主なものはネ阜新胡頭溝基地と城子山出土玉器類,法庫湾柳衛・義県・興城楊河出土青銅式器・容器それに喀左和尚溝青銅容器と,紅山文化から段周平行期に及ぶもので,東北アジア文明にかかわる土着要素と外来要素の分析に貴重な資料となるものである。 2,考古学的考察考古測量と実測調査の間を縫って,それら遺跡と同種遺跡。遺物を求めて各地で考古学的考察を行なった。主要なものは,東北アジア最古の新石器文化(B.C,6,000年頃)の阜新査海遺跡,紅山文化最重要遺跡の牛河梁遺跡,段周青銅器窖蔵の喀左北洞遺跡,青銅短剣文化の朝陽ナニ台営子,青銅文化初期の廟山遺跡・蓋県支石基・亮申店支石基,綏中姜女石奏漢官殿地,北票馮素弗基など遼寧全域の各種文化遺跡を網羅することが出来た。 とりわけ桓仁の高句麗遺跡へは1944年の三上次男先生の踏査以来,外国人考古研究者として初めて約半世紀ぶりに考古考察を行なうことが出来た。その他,旅順博物館はじめ,各地の博物館,文化館で各地発見遺物の考察を行ない多くの資料を蓋積することが出来た。 3,河北省・山東省の考古考察遼寧省域における文化は,決して上着文化のみで発展したものではないことはいうまでもない。とりわけ遼西では地続きの河北省,遼東では対岸の山東半島と極めて深い文化的関連を有している。そこで遼寧省での調査の途次,短期間ではあるが,両省における主要遺跡・遺物の考古考察を併せ行ない,理解を深めることとし,平成3年度に山東省,平成4年度に河北省の考察を行ない,多大の成果をあげることが出来た。 4,まとめ中国との考古学的共同研究は,水中考古学の分野を除き,我々と遼寧省とのものが初めてである。詳細は別添の報告書の討りで併せ参照されたい。我々の調査のみ主に記したが,この間中国側も延べ9人が来日し,九州・四国・中国・近畿・東海・関東各地の遺跡・遺物を踏査し,併せて博物館,史跡公園を訪れ,多方面にわたり考察を行なった。それらは早速,遼寧省はもとより,各地での考古調査や文化財保護作業に生かされてゆくであろう。今後,今回の経験をもととし,更に多方面に考古学的共同研究を実施したいと計画している。一層の助成を要請したい。
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