研究概要 |
Arbacia punctulata精子をpH6.6および8.2の人工海水中で放射性無機リン酸( ^<32>P)とインキュベ-ションするとグアニレ-トシクラ-ゼ以外のタンパク質も標識されるが,精子活性化ペプチド(SAPIIA)の添加によって脱リン酸化されるタンパク質はグアニレ-トシクラ-ゼのみであった。0.1MNaF(pH5.6)存在下で精子細胞膜を調製すると,リン酸化型グアニレ-トシクラ-ゼが膜中に保持されているが,この膜標品にSAPIIAを添加するとグアニレ-トシクラ-ゼは作動を始める。しかし,精子にSAPIIAを添加した時のように活性の低下はおこらなかった。これは分離した膜標品中のプロティンホスファタ-ゼがNaFによって阻害されているために,グアニレ-トシクラ-ゼが脱リン酸化型(不活性型)に転換しないことによるものと考えられる。現在,0.1MNaF存在下で調製した細胞膜中にプロティンホスファタ-ゼが存在するかどうかを検討中である。 一方,バフンウニ精子を100mMK^+を含む人工海水(100mMK^+ーASW)中で精子活性化ペプチド(SAPーI)を作用させると精子細胞内cGMP濃度が著しく増加することをみいだした。SAPーIは100mMK^+ーASW中でもバフンウニ精子膜上の71KDaおよび63KDaタンパク質に正常海水中と同様に結合することから,100mMK^+ーASW中ではグアニレ-トシクラ-ゼ活性が正常海水中とは異なることが予想される。100mMK^+ーASW中ではSAPーI添加後も精子のグアニレ-トシクラ-ゼは活性型(リン酸化型)として存在していた。これは100mMK^+ーASW中ではプロティンホスファタ-ゼ活性が阻害されていることを意味しており,SAPの作用機構の中にK^+チャンネルの関与を考える必要があるものと思われ,現在検討中である。 SAPーIは先体反応誘起に特異的補助因子として作用するが,K^+チャンネルの阻害剤(TEA)存在下ではSAPーI単独でも先体反応誘起能を示す結果も得ており,現在TEA存在下でSAPーIを作用させた時の細胞内Ca^<2+>,pH^iの変化の有無を測定している。
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