研究課題/領域番号 |
02044091
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
手塚 慶一 大阪大学, 工学部, 教授 (20028955)
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研究分担者 |
クロゼ J.F. マサチューセッツ大学, 計算機科学系, 助教授
バストーラ K.S. レンゼラー工科大学, 生産技術研究センター, 助教授
大月 一弘 神戸大学, 教養部, 助手 (10185324)
山本 幹 大阪大学, 工学部, 助手 (30210561)
岡田 博美 大阪大学, 工学部, 助教授 (10093387)
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キーワード | 広帯域ISDN / 階層型ネットワ-ク / 超高速広域ネットワ-ク / NAN / LAN / 交換機ア-キテクチャ / リング型ネットワ-ク / アクセス制御 |
研究概要 |
音声・デ-タ・画像などからなる多元トラヒックを単一のネットワ-クインタフェ-スで処理する広帯域ISDNを構成する場合、基幹部を数G〜数百Gbpsの超高速広域ネットワ-クで構成し、これに数百Mbps程度の高速中域ネットワ-クさらには1〜10Mbps程度の低速構内ネットワ-クを接続するという、階層的ネットワ-ク構築形態が効率性・柔軟性ならびに発展性の点できわめて優れている。本研究においては、この階層構造をとる広帯域統合ネットワ-クの構築技術の内、高速伝送処理技術、階層間整合問題、及びトラヒック制御のそれぞれを研究課題として取り上げている。本年度は、各階層構成ネットワ-クの高機能化を目的とし、各階層ネットワ-クの性能評価シミュレ-タの開発、超高速広域ネットワ-ク及び高速中域ネットワ-クにおける交換機ア-キテクチャの開発、高速中域ネットワ-クにおけるアクセス制御方式の開発を行った。 シミュレ-タ開発としては、各階層の構成要素ネットワ-クである超高速広域ネットワ-ク、高速中域ネットワ-ク、低速構内ネットワ-クのそれぞれに対するシミュレ-タを開発し、以下に述べる伝送制御方式及び交換ア-キテクチャの特性を求める際に使用している。 交換機ア-キテクチャとしては、超高速広域ネットワ-ク及び高速中域ネットワ-クに適応する新しい交換機ア-キテクチャを開発した。具体的には、高速中域ネットワ-クにおいて多数のバ-チャルサ-キットをグル-プ化し、この中で伝送回線資源を有効利用することのできるチャネルグル-プ型バ-チャルサ-キット形式を提案し、これに適した新しい交換機ア-キテクチャの開発を行った。本スイッチは、光ファイバリングを基本モジュ-ルとし、これを重ね合わせる事により構成される。ある出回線の利用率が高く回線待ち行列が長くなると、この出回線を目指すパケットを、チャネルグル-プを構成する他の回線がつながっている光ファイバリングへと転送することにより、チャネルグル-プを構成する回線の有効利用を図っている。さらに、本ア-キテクチャの伝送特性を上記のシミュレ-タにより求め、高速中域ネットワ-クでの有効性を明らかにした。 また、超高速広域ネットワ-クにおける伝送方式として期待されているATM(Asynchronous Transfer Mode)方式に適した新しい交換機ア-キテクチャを開発した。広帯域ISDNにおいては、その帯域が非常に広いことから画像トラヒックが主流になると考えられる。画像トラヒックのサ-ビス形態としては、テレビ会議や画像情報の分配サ-ビスなどの放送型サ-ビスが多い。従って、交換機ア-キテクチャにも放送トラヒックに対する適用性が要求される。そこで、交換機の構成要素としてそれ自体が放送機能をもっているバスやリングなどの放送型伝送メディアを用い、交換制御を交換動作に先行させることにより高速交換を可能とする、新しい交換機ア-キテクチャを提案した。そして、本ア-キテクアチャの有効性を上記シミュレ-タを用いた特性解析により明らかにした。 伝送制御方式としては、高速中域ネットワ-クにおいて光ファイバを用いたリングネットワ-クとして現在注目を集めているFDDI(Fiber Distributed Data Interface)に対し、その伝送方式の遅延解析及び過渡解析を通じてネットワ-クの諸特性を求めている。さらに、FDDIのみならず高速中域ネットワ-クとしてリングネットワ-クを用いた際の、マルチメディア環境における種々のアクセス制御方式の特性をシミュレ-タにより明らかにし、これらの高速中域ネットワ-クでの適応性について検討を行った。 また、トラヒック制御技術としてリアルタイム性を持つトラヒックに対し、そのネットワ-クでの振舞いを予測する手法の開発を行っている。 以上、本年度においては階層型ネットワ-ク構成における各階層構成要素ネットワ-クの各々に対し、その高機能化を目的として種々の観点から研究を遂行した。今後さらに各構成要素ネットワ-クの高機能化を図るとともに、統合ネットワ-クとしてのトラヒック制御技術及び各階層間の整合化技術の開発が必要である。
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