研究概要 |
イチゴの収量と根圏環境に及ぼす地温調節に加えて,果実収穫前2週間の土壌水分条件を変化させたときのイチゴの収量への影響について調査した。収穫前2週間の水分設定は,湿潤(40〜43%),標準(37〜38%),乾操(30〜35%),の範囲に維持され,地温はマルチ区が対照区(無マルチ)より1〜2^。C,電熱加温区は5〜8^。C高く設定されていた。それらの結果、イチゴ収穫直前2週間の土壌水分をPF1.2〜1.4(40〜43%)に調節したあと,水分を圃場容水量に,地温を20^。C前後に維持すれば,大粒で,糖度は比較的一定,週間の収量もほぼ一定した作業効率の良いイチゴの栽培が可能となった。 カナダBC州でのピ-マンを供試作物とし,全期マルチ,前期マルチ,後期マルチ,全期マルチ+トンネル処理実験の結果,後期マルチを標準区とした収穫促進度合は前期マルチで2〜3倍,全期マルタで3〜7倍に上るものとなった。さらにビニルトンネル+全期マルチ栽培とした場合には実に10〜13倍に達した。晩春の気候条件下では露地栽培が不可能であるのに,マルチによって栽倍が可能になること,地中環境改善には移植直後からのマルチが効果的で,しかも栽培全期間を通す方がよいこと,マルチにおける水・肥料管理システムとしてはファ-ティゲィション(肥料混入灌水)が成長にプラスであることがわかった。 根圏域環境改善のためのべたかけの実験とシミュレ-ションから、晴天日,べたかけ内の気温は日中は4〜8^。C高く,夜間も3〜4^。C高くなった。観測とシミュレ-ションの結果は比較的良く一致した。 根圏土壌内の水分の移動を解析する上で問題となる,成層土壌内における水分の不飽和浸透について,室内実験を行い,成層土壌の粒度分布及透水係数の違いによる浸潤前線の不安定性を明らかにした。
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