研究課題/領域番号 |
02044114
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 九州大学, 医学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
MATIJASEVIC ゼンカ マサチューセッツ大学, 医学部, 研究員
VOLKERT Mich マサチューセッツ大学, 医学部, 準教授
早川 浩 九州大学, 医学部, 助手 (70150422)
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キーワード | DNA修復酸素 / DNA損傷 / 転写調節 / 遺伝子発現 / 突然変異 / adaレギュロン / アルキル化剤 / 適応応答 |
研究概要 |
アルキル化剤は生物のDNAを傷つけ、その結果突然変異や癌をひきおこす。しかし細胞を予め微量のアルキル化剤で処理すると、その後高濃度のアルキル化剤を与えてもそれに抵抗性を示すことが知られている。この現象は一般的に適応応答とよばれているが、我々はその機構を分子レベルで解明するため大腸菌を用いて研究した。 適応応答に関連する遺伝はada,alkA,aldBの4つが知られているが、それらの遺伝子をクロ-ニングし、それによってコ-ドされている蛋白質の生化学的特性を明らかにした。ada遺伝子の産物はO^6ーメチルグアニンDNAメチルトランスフェラ-ゼ、alkA遺伝子の産物は3ーメチルアデニンDNAグリコシラ-ゼIIであるが、alkBとaidBの遺伝子産物の活性は未だわかっていない。これらの遺伝子の産物は細胞を微量のアルキル化剤で処理したときに著しく増加するが、この増加にはada遺伝子が必須である。その産物Adaタンパクはメチルトランスフェラ-ゼの活性のほかに上の4つの遺伝子の発現を促進する転写調節機能を持っている。すなわち自らのメチルトランスフェラ-ゼ活性によってメチル基を受容したAda タンパクは、それ自体に遺伝子(ada)や他のこのレギュロンに属する遺伝子(alk Aなど)のプロモ-タ-に結合し、それによってこれらの遺伝子の発現を増強することが明らかになった。本年度は特にAdaタンパクの転写調節活性を中心に研究し、メチルホストリエステルからのメチル基を受容する69番目のシステインを含むN末端測のドメインの機能を明らかにすることができた。この系に属するalkAとaidBの発現調節については関口とVolkertのグル-プで分担して研究を進め、ほぼ基礎的事項を整理することができたので、平成3年度にそれぞれの研究室に相互に訪問して研究の展開をはかる計画である。
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