研究概要 |
本年度はサマリウム金属間化合物の基礎的物性を明らかにすることを目標として研究を行った.試料としてSm(Ag, In),SmCu,SmZn,SmAu,SmRn等を作成した.沖縄グル-プはまず,磁化,帯磁率の測定を行い,立方晶化合物は0.07(ボ-アマグネトン/サマリウム原子)程度の小さな磁化を持ち,他の結晶構造の化合物は0.3(ボ-アマグネトン/サマリウム原子)と大きな磁化を持つことを確認した.立方晶化合物の小さな磁化の起源を明らかにするために結晶場ー4f電子相互作用に基づいて磁化,帯磁率の計算を行いCsCl型化合物の4f基底状態はΓ_7(2)で,Hund基底項のスプリット巾は約490Kである結果を得た.さらに,電気抵抗,ホ-ル効果等の測定を行い,SmAg_<1ーx>ln_xは他の軽希土類化合物と同様フェルミ面の様子はxとともに大きく変わり,電子状態はホ-ル軌道から電子軌道へと変わる結果を得た.またkーf相互作用もx=0.2付近で磁気配列を反強磁性から強磁性へと変えるとともに,符号を負から正に変えることを確認した.これらの研究のために寒剤費などの消耗品を購入した.グルノ-ブルグル-プは強磁場中の測定を行い保磁力の温度依存は残留磁化の4乗に比例し,磁壁ピン止めモデルから予想される温度依存はしないことを確認した.伝導状態をさらに詳細に明らかにするために研究代表者はウィ-ン工科大学に出張し熱電能の測定と議論を行った.熱電能については引続き測定を行うことにより全体像を明らかにしたい.次年度は高温領域の諸測定も行う予定である.
|