研究概要 |
超高磁場MRI/Sの臨床応用を検討するため、昨年に続き方法の確立をめざした。局在法では、Chemical Shift imaging(CSI)法が最適であるという結論に達したが、超高磁場では、電源系、RF照射系、傾斜磁場の安定性、渦電流対策、デ-タ処理ソフトの開発など、多くの問題点があった。そこで、動物実験機(4.7T,7.0T))にて、これらを解決すべく、(1)渦電流による信号の乱れ、特に ^1HーMRSでの水信号の影響による測定困難の問題、(2)CSI法での各voxelでのchemical shiftによる位置ずれの問題、(3)RFパルスの生体内への深達度の問題、(4)磁化率の異なる部位での測定、などの研究を行った。その結果、(1)に対しては、shielded gradient coilによる渦電流の軽減の必要性、(2)には、ソフトウエア上での処理の必要性(現在検討中)、(3)に対しては、深部ではRF power limitationを越えない範囲での解決は困難、(4)には、根本的対策が未だなされない、という暫定的結論が得られた。これらを踏まえた実験で、HーCSIで、脳虚血巣での乳酸の画像化が可能となった。また、拡散強調画像にて脳浮腫、脳虚血での水分子の拡散を画像化できた。さらに、拡散強調画像とMRSとを結びついたSpectroscopic Diffusion Imageも超高磁場では可能で、病態解析に非常に有用であることが示唆された。 この基礎研究を基に、ヒトでの応用を試みたが傾斜磁場を加えたときの渦電流の対策がいまだ充分に行えず、RFパルス強度の人体に対する限界があり、今年度の完成は果たせなかった。しかし、超高磁場では、低感度の核種( ^<31>P, ^<13>C)の測定には良い結果が得られた。また、 ^1HーMRSでも低い含有量の物質(glutamine/glutamate,taurine,inositol,etc)の測定が可能であり、その有用性が認められた。上記の問題点の解決を含め、今後も研究を続ける価値のある研究課題であることが確認できた。
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