研究課題
本年度は欧州1回、米国1回の出張により研究者間の意見交換、材料の交換を行い、昨年に引続き、かなりの成果を得た。清水は超低温固定による後固定光顕および免疫電顕法の手技を確立し発展した(I.Histochem Cytochem、印刷中)。この方法は今後、表皮基底膜部に病変を生じる自己免疫疾患への応用が可能で、目下、成績が蓄積されつつある。橋本らは、抗原検索法として免疫沈降法と免疫ブロット法の手技を確立し、両者間の差について検討し論文を投稿中である。議論の多かった類天疱瘡患者血清中の抗表皮基底膜部抗体の反応抗原について、日、英、米の患者血清を比較検討し、人種差のある各群の患者血清の態度がほぼ類似していることを明らかにした(第91回日本皮膚科学会学術大会にて発表)。これに加えて、今まで議論の多かった類天疱瘡抗体の表皮基底膜部の免疫蛍光法での染色態度と、抗原分子との間に相関が見られるという新しい事実が共同研究により明らかにされた。研究者の交流によりこのようなデ-タが得られ、本研究の目的の一つが達成されたことになり、更に今後の共同研究の発展が期待される。一方、表皮基底膜部にIgAの沈着する線状IgA皮膚症についても、欧米の患者血清を集積すると共に抗原の検索、抗体の反応部位について、確立された手技を利用して、精力的に研究が続けられている。一方、得られた成果は、国内外の学会で発表し、同時に論文作成の作業を続けているが、なお研究の各々の方面で一層発展の傾向を示し、今後も共同研究の機会は一層拡大しそうである。
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