研究課題/領域番号 |
02044166
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
鈴木 和夫 国立環境研究所, 環境健康部, 室長 (90109918)
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研究分担者 |
FOWLER B.A. メリーランド大学, 医学部(アメリカ合衆国), 教授
CHERIAN M.G. ウエスタンオンタリオ大学, 医学部(カナダ国), 教授
平野 靖史郎 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20150162)
青木 康展 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20159297)
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キーワード | ガリウム / インジウム / ヒ素 / 亜ヒ酸 / 半導体 / 腎臓 / 尿細管上皮細胞 / ヒ-トショックタンパク質 |
研究概要 |
本年度は次世代半導体の原料の健康へのリスクアセスメントを中心として研究を行なった。まず、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及び亜ヒ酸の腎尿細管細胞に与える影響について、青木とFowlerは共同研究を行なった。コラゲナ-ゼ消化したラット腎臓より尿細管の断片を分離した後、腎尿細管上皮細胞を初代培養した。培養開始後、5日間で細胞はコンフレントな状態となった。この細胞に300μMのGuCl_3及びInCl_3を暴露したが、細胞からの乳酸脱水素酵素(LDH)の遊離は観察されず、これらの温度のGa,Inは直接的な細胞毒性を有しないことが明らかとなった。それに対して10μMの亜ヒ酸はLDHの遊離を引き越し、細胞毒性を有していた。次いで300μMGa10μM亜ヒ酸、及び300μMInに細胞を24時間暴露したのち、新生タンパク質を^<35>Sメチオニンで放射標識した。これらの金属によるタンパク質の合成の変化をフロログウフィ-により調べた。その結果、Gaと亜ヒ酸により、分子量30,000のタンパク質が特異的に誘導されていた。また、同時にヒ-トショックタンパク質と思われるタンパク質の合成も促進されていた。これに対してIn暴露では、有意なタンパク質の合成の変化はみとめられなかった。これらのタンパク質の合成の変化は、Ga,亜ヒ酸暴露のよい指標となると思われる。 また、Fowlerはアルシンガス(AsH_3)のマウス、ラット等への暴露実験を行ない、毒性学的な指標の変化を調べた。米国の作業環境規準の10倍の濃度である0.5ppmAsH_3をラットへ6時間暴露しても顕著な変化は認められなかったが、規準の半分の0.025ppmを80日間暴露するとメスラットでは貧血状態が認められた。 平野と鈴木は塩化イットリウムの気管内投与による肺への影響の予備的な研究を開始した。
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