研究課題
中国における石炭埠頭の荷役運搬システムについて現状を把握するために、大連港、秦皇島港を調査してデ-タの収集を行った。調査の結果、中国において最大の石炭処理能力を有する秦皇島港の石炭埠頭では、日本に比べ高い処理能力を持つ荷役運搬機械が数多く配置されており、石炭の荷役を受ける船舶,貨車が荷役待ちの行列をつくっていることがわかった。この行列を減少させるためには、荷役運搬システムの最適な構造と運営方法について検討する必要がある。中国で収集した石炭埠頭荷役運搬システムのデ-タに平成2年度に調査を実施した日本のデ-タを加え、シミュレ-ション解析モデルの改良を行った。また、これをもとに荷役運搬システムの最適化を行うために必要なシミュレ-ション解析手法を日中合同で開発し、これまで調査した石炭埠頭のデ-タと比較し、妥当性を検証した。本解析手法は確率的な事象を取扱うことのできるモンテカルロ法を用い、荷役運搬システムの構造や運営方法を機能的、経済的に評価することができる。本解析手法を日本の石炭埠頭に適用した結果、荷役を受けるために停泊している船舶の待ち時間及び貯炭場の規模と埠頭で1年間に取扱われる石炭量の関係が明らかになり、中国で開催された「荷役運搬機械及び物流システムに関する国際会議」において講演を行い、多大の反響があった。今後の課題として、開発したシミュレ-ション解析手法を用いて数値解析を行い、石炭埠頭における石炭の流れの特性を明らかにして荷役運搬システムの最適設計法を確立する。実際への応用例として中国秦皇島港と上海港の石炭埠頭を対象に事例解析を行い、現在運営されている荷役運搬システムをどのように変更し、最適化するかについて提案する。
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