研究課題
1.研究実績の概要(1).上海市余山区域の3カ所(山頂、中腹、すそ野)において地震観測を開始した。また補助的手段として常時微動の観測を平成2年7月10日から16日にかけて行い、これらのデ-タを時間領域と周波数領域で解析を行った。その結果、軟弱層の厚さに比例して振幅が増大し、且つ卓越周期が長くなる事を確認した。(2).上海市余山区域の観測地点周辺の地盤の弾性波速度、土質、標準貫入試験等を平成2年10月から12月にかけて行った。得られた資料から解析モデルを作り地震波入射による不整形地盤・地形の応答解析を行った。(3).道路ネットワ-クの機能障害についてシステム分析を行い、評価モデルを提案した。この評価モデルに火災による道路遮断の影響を考慮し、上海市を例にして時系列的な道路の機能障害を評価した。その結果、道路周辺地域の耐震性が道路機能を保持する為に重要である事が判明した。(4).道路ネットワ-クを利用した避難モデルを作成した。このモデルを上海市を例にして時系列的な避難状態を解析した結果、都市構造(人口密度、空地面積及び空地配地等)が大きな影響を与える事がわかった。2.今後の研究の展開(1).上海市余山区域に於ける強震観測と常時微動観測。(2).上海市余山区域の理論解析と観測結果を比較し解析モデルの合理性を検討する。この際、豊橋技術科学大学での観測結果及び解析結果と比較検討する。(3).2)により確認されたモデルを利用い数値解析を行い、代表的な不整形地盤・地形の増幅効果を解析した上で、不整形地盤・地形における構造物の設計用入力地震動の評価手法を提案する。(4).道路機能への影響を定量的に表わす道路機能障害評価システムモデルを構築する。(5).上海市及び日本の相当する都市に関するデ-タを集めるために現地調査を行う。(6).構築された道路機能障害評価システムモデルを既存の設計用応答スペクトル及び不整形地盤・地形の地震動増幅特性から修正された設計用応答スペクトルに結合して上海市及び日本に於ける相当する都市の震災危険度の評価を行い、発災期から避難救援期に至るまでの震災波及の定量的評価を行う。
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