研究課題
1.研究実績の概要(1)上海市余山区域の3カ所に置いて地震観測を行い、これらのデ-タを時間領域と周波数領域で解析を行った。その結果、軟弱層の厚さに比例して振幅が増大し、かつ卓越周期が長くなる事を確認した。(2)上海市余山区域の観測地点周辺の地盤の弾性波速度、土質、標準貫入試験等を行い、得られた資料から解析モデルを作り、地震波入射による不整形地盤・地形の応答解析を行った。(3)道路ネットワ-クの機能障害についてシステム分析を行い、評価モデルを提案した。この評価モデルに火災による道路遮断の影響を考慮し、上海市を例にして時系列的な道路の機能障害を評価した。その結果、道路周辺地域の耐震性が道路機能を保持するために重要であることが判明した。(4)道路ネットワ-クを利用した避難モデルを作成した。このモデルを上海市を例にして時系列的な避難状態を解析した結果、都市構造(人工密度、空地面積及び空地配置等)が大きな影響を与えることが分かった。(5)不整形地盤に対応する3次元応答解析プログラムが完成した。現在、日本の対象区域をモデル化して、応答解析を行っている。また、同対象地点において、強震観測システムもほぼ完成しており、観測結果と理論解析結果との比較、検討を行っている途中である。2.今後の研究の展開(1)上海市余山区域の理論解析と観測結果を比較、検討する。この際、豊橋技術科学大学での観測結果及び理論解析と比較、検討する。(2)(1)より確認された結果を利用し、代表的な不整形地盤・地形の増幅効果を解析した上で、不整形地盤・地形における構造物の設計用入力地震動の評価方法を提案する。(3)構築された道路機能障害評価システムモデルを既存の設計用応答スペクトル及び不整形地盤・地形の地震動増幅特性から修正された設計用応答スペクトルに結合して上海市及び日本における相当する都市の震災危険度の評価を行い、発災期から避難救援期に至るまでの震災波及の定量的評価を行う。
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