研究課題
タイ国東南部は純熱帯性の果樹であるドリアン、マンゴスチン、ランブ-タンなど、一方、北部地域はレイシおよびリュ-ガンの主産地である。一般に生産者は零細で、大規模な経営を行っているものは少ない。このため、栽培管理が不徹底となりやすく、生産される果実の外観を含めた品質には相当な変異が生じている。これらの生産物は国内の市場向が主体であるが大規模経営者は、香港およびシンガポ-ルへの輸出を行っている。さらに近年では、新しい海外市場として日本、アメリカ、カナダ、ヨ-ロッパ各国、オ-ストラリアを開拓しつつある。国内向けと比べて輸出向けの果実は外観・品質は優れているが、とくにわが国への輸出を考える場合には、さらに品質の均一化を図る必要があるものと思われる。このための栽培管理の徹底、選果基準の統一、鮮度保持のための流通課程の改善などが今後の課題であろう。果実の流通では収穫果の選別、輸送形態、市場での取扱等のすべての点で改善が望まれる。加工の分野では、近代工場では原料の受け入れから製品の完成まで機械化が進み、品質管理が行き届いているが、このような工場は数少ない。ロイヤルプロジェクトの缶詰工場でも製造に手作業が多いために品質は必ずしも整っておらず、その上、技術指導者が育っていない関係から技術面での見劣りが目立っている。品質(香味、色沢等)の優れた果実は数多くあるが、加工用原料としての熟度の判定、剥皮、細断、肉詰等の技術、製品の規格化、工場内の衛生管理、品質管理等について研究し技術の改善を図ると共に、製品の附加価値を高めるための新製品の開発を積極的に行って行けば、タイ国の熱帯果実の加工性や品質の向上が得られ、輸出商品としての期待がもてるものと思われた。