研究課題
今年度の派遺研究者の冨永助教授は、ジョ-ジア州と鹿児島県の気象条件を比較しながら、両地域の果樹栽培について比較した。その結果、両地域は緯度はほぼ同じでありながら、細かい気象条件が異なること、すなわちジョ-ジアは夏季に高温乾燥・長日照時間で高品質果実の生産に極めて有利であることを明らかにした。また、ジョ-ジア州からモモ、マスカディンブドウを導入し鹿児島県で試作する手筈を整えた。モモでは、85品種について開花時期と期間、低温要求量、果実品質などを検討し、低温要求量が少なく早生の9品種を導入した。マスカディンブドウでは18品種について雌雄性、果実品質、果皮色、用途などについて検討し、11品種を導入した。両種とも、現在植物検疫を受けるための手続を進めているところである。ジョ-ジアのブル-ベリ-栽培については、多くの産地を見学し、栽培方法、収量性、果実品質などについて九州地域のそれと比較した。本年度の招へい研究者のM.E.Austin教授は、日本におけるラビットアイブル-ベリ-の栽培方法について検討した。特に、低収量の原因を究明するために、気象条件や剪定方法、施肥量などについて調査した。ブル-ベリ-については、次年度以降両地域において、同一の品種を供試し、同一の栽培方法を行ない、栽培方法や気象条件が収量性や果実品質に及ぼす影響について明らかにしていく。本年度の成果をもとに、次年度以降日本における果樹栽培の改善を図っていく。モモでは低温要求が低く、しかも高品質の品種の導入と育成、日本に未導入のマスカディンブドウでは適応性の検討、ブル-ベリ-では良品多収の栽培技術を確立していく。