研究概要 |
早稲田大学・ロ-マ《ラ・サピエンツァ》大学間交換協定[昭和61年締結]に基づく共同研究計画(言語学部門およびロマンス言語学部門)を継続発展させることを主目標とした。 ソシュ-ル言語学部門:ロ-マ大学言語科学科においてT.デ・マウロ教授と共同にて,ソシュ-ル言語理論に関し,これまで『一般言語学講義』の成立過程に由来する矛盾が指摘されたが,その究明に原資料を役立てる前に大部分は『講義』の従来見過ごされてきた章を読み直すことにより解決できることに着目した。共時と通時,連合と統合などの2分法には交差点がある(構造主義と歴史主義も背反する存在ではない)ことを裏付けるための討議を重ねた。なお,平成4年度初め(4月2日〜4日),早稲田大学主催にてデ・マウロ教授を議長とし,当研究の代表者を開催責任者として「ソシュ-ル言語学とその現代性」を問う国際シンポジウムを計画し,ソシュ-ルの再評価を目指してその準備にも努めた。 ロマンス言語学部門:ロ-マ大学ロマンス言語学科のA.ロンカリア教授の指導・協力を得て,少数派ロマンス語のうち重要な存在をなすサルジニア語の現地調査(今回はことにヌオロ方言の語彙の整理および諸方言の差異について)を行なった。さらに第25回イタリア言語学会(於ルガ-ノ,9月19日ー21日)においてイタリア語の合成名詞について研究発表し,ソシュ-ル理論との関連にも言及した。なおスイスのイタリア語などに関しても可能な限り資料集収に努めた。
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