有機ケイ素および関連IV B族カテネート化合物の機能と物性

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02102004
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 櫻井 英樹 東北大学, 理学部, 教授 (70025873)
• 研究分担者: 坂本 健吉 東北大学, 理学部, 助手 (50187035) ; 関口 章 東北大学, 理学部, 助教授 (90143164)
• キーワード: 有機ケイ素化合物 / 不斉誘導 / 光反応 / 3配位IV B族カチオン / 5配位ケイ素化合物 / アニオン重合 / ポリシラン / ジシレン

研究概要

昨年度に引続き、以下の4つのテーマについて研究を行った。本年度の主要な研究結果を以下に述べる。
1.有機合成戦略としての有機ケイ素化合物の反応
光学活性置換基を持つシリレンとアルコールとの付加反応において、初めて不斉誘導が起きることを見出した。
またIV B族元素カチオンの溶液中の挙動を核磁気共鳴法などを用いて精査し、スズの3配位カチオンを直接観測することに成功した。
2.特異な構測を持つ有機ケイ素化合物および関連化合物の合成と物性ヘキサキス(メトキシジメチルシリル)ベンゼンやヘキサキス(フルオロジメチルシリル)ベンゼンのすべてのケイ素原子がその立体的要請により極めて特異な5配位構造を持つことを明らかにした。
またテトラシリルジシレンおよびジゲルメンを系統的に多数合成し、その固相中および液相中における物性を明らかにした。
3.新規有機ケイ素ポリマーの開拓
マスクされたジシレンのアニオン重合がリビング重合であることを証明し、ポリシランの分子量制御に成功した。さらに、この方法を用いて初めて環状構造やアミノ基を持つポリシランの合成を行った。
またポリシランの分子鎖運動をスピンラベル法やサーモクロミズム現象の解析により定量的に定価した。
4.有機ケイ素化合物および関連IV B族化合物の光反応
光化学的に発生させた不安定なジシレンの反応性についてレーザー閃光分解法により定量的な検討を行った。またジシレンに対する各種の置換基効果についてもマトリクス単離法を用いて詳細に研究した。
またアリールオリゴシランの光分解反応における置換基効果や溶媒効果を詳しく検討し、その反応に関与する励起状態を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] H.Sakurai: "Photochemistry of aryldisilanes and disilanyl-quinones.Novel photochemical process from intramolecular charage-transfer states" J.Photochem.Photobiol.A:Chem.65. 111-120 (1992)
• [文献書誌] M.Kira: "An NMR studies of the formation of silyloxyonium ions by using tetrakis[3,5-bis(trifluoromethyl)-phenyl]borate as counteranion" J.Am.Chem.Soc.114. 6697-6700 (1992)
• [文献書誌] M.Kira: "The first matrix-isolation and electronic structure of vinyl-substituted silylenes" Tetrahedron Lett.33. 243-246 (1992)
• [文献書誌] M.Kira: "Siloxycarbenium tetrakis[3,5-bis(trifluoromethyl)-phenyl]borates and their role in reactions of ketones with uncleophiles" Chem.Lett.555-558 (1992)
• [文献書誌] A.Sekiguchi: "Preparation,characterization,and crystal structures of octasila-and octagermacubanes" J.Am.Chem.Soc.114. 6260-6262 (1992)
• [文献書誌] K.Sakamoto: "Photochemistry of disilanylcyclohexenones.ESR detection of a novel silatrimethylenemethane intermediate" Chem.Lett.1029-1032 (1992)