研究課題/領域番号 |
02151019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀夫 東京大学, 医学部(医), 教授 (10010050)
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研究分担者 |
新部 英男 群馬大学, 医学部, 助教授 (90008293)
坂本 澄彦 東北大学, 医学部, 教授 (20014029)
小野 公二 京都大学, 医学部, 講師 (90122407)
小川 恭弘 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90152397)
安藤 興一 放医研, 臨研, 室長 (00159526)
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キーワード | マウス移植腫瘍 / 先行指標 / 低酸素性細胞 / 色素排除試験 / 分割照射 / 放射線感受性 / Micronucleus assay / リンパ球浸潤 |
研究概要 |
腫瘍の放射線に対する反応及び感受性を反映する先行指標の確立と分割照射による腫瘍治癒に関与する因子の解明を目的として研究が進められた。 先行指標としてMicronucleus assay法(小野ら)の他に、In vivoで照射された腫瘍から細胞を調製し、in vitro色素排除試験を用いて細胞死をモニタ-し、腫瘍細胞の致死過程を線量依存的に判定する方法が確立されつつある(鈴木)。また、腫瘍の放射線反応を病理組織学的に(新部)あるいは免疫組織化学的に(小川)解析し、腫瘍の反応・感受性と関連づける研究や増殖細胞のみを染色するKi67抗体を用いることによる照射後の腫瘍内の細胞動態の解析(安藤、小川)も進んだ。小川らは、Head & Neck領域の患者では約10Gy照射後のヘルパ-・インデュ-サ-Tリンパ球の浸潤が腫瘍の消失と深く相関しているという結果を示した。腫瘍内に存在する放射線抵抗性細胞(Hypoxicな細胞も含め)の照射後の消長に関連して、安藤らがマウス線維肉種の中心部と辺縁部とからそれぞれ細胞を調製し、in vitro照射後にコロニ-形成でテストしたところ、腫瘍中心部細胞の方が放射線に対して抵抗性であった。小野らは、BUdR取込み法とMicronucleus assayを組み合わせて腫瘍中の増殖期細胞と静止期細胞を区別して放射線感受性を調べる方法を確立し、休止期細胞の抵抗性を明らかにした。これらの研究は今後、照射後の細胞動態の変化とそれにともなう感受性の変化の解析へ展開する。また、マウス扁平上皮がんの分割照射後に再発したものは、もとの腫瘍よりも放射線抵抗性であった(坂本)。これは従来の一回照射後の再発腫瘍について得られている結果と必ずしも一致せず、この事実の確認と解明は、間質への放射線効果などを含め、今後の課題のひとつである。
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