研究課題/領域番号 |
02151028
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
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研究分担者 |
口野 嘉幸 国立がんセンター, 研究所, 部長 (60124418)
石崎 寛治 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (70111987)
秋山 徹 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (70150745)
横田 淳 国立がんセンター, 研究所, 室長 (10191503)
高井 新一郎 大阪大学, 医学部, 教授 (80028513)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / 網膜芽細胞腫 / 神経芽細胞腫 / 多内分泌腺腫瘍症 / ウイルムス腫瘍 / 乳がん / 肺がん / RB遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、ヒトがんの遺伝学的解析、染色体解析および遺伝子解析の面からがんの抑制に働く遺伝子群とその機能の追求を目的とする。がん抑制遺伝子へのアプロ-チとしては、遺伝性腫瘍の原因遺伝子、がんにおける染色体欠失、染色体あるいはDNA移入による分化形質が手がかりとなる。網膜芽細胞腫の原因遺伝子(RB遺伝子)の新生突然変異の原因となるDNA損傷は遺伝性、非遺伝性ともに配偶子起源である可能性が出てきた.多内分泌腺腫瘍症2A型にも軽度の角膜神経肥厚が認められ,2B型との密接な関連が指摘されたが、表現度は他の遺伝子の支配を受けているようである.ウイルムス腫瘍では、約22%の症例に原因遺伝子であるWT遺伝子の変異が観察された。がんに見られる染色体欠失は、骨肉腫、網膜芽細胞腫では13、17染色体に、肺がんでは3、13、17染色体に、乳がんでは13、16、17染色体に、また、神経芽細胞腫では1、11、14染色体に欠失が高頻度に観察される。がんの成立にいくつかのがん抑制遺伝子の機能消失型突然変異が多段階的に起っていることを示す.同じ遺伝子が異なった腫瘍に共通に働くが、一般には、関与している遺伝子群には臓器特異性があり、また、複数の染色体の協調的欠失が悪性度と相関することも明らかとなった.対応する遺伝子にはRB遺伝子、p53遺伝子があるが、RFLP分析の結果は乳がんでは17染色体にp53遺伝子以外の未知のがん抑制遺伝子が存在することを示唆している。RB遺伝子産物の機能とリン酸化の関係が明らかとなり、またRB蛋白の細胞内標的蛋白の候補も分離に成功した。遺伝子導入法によって新しく単離されたがん抑制遺伝子Krevー1遺伝子、およびsーmyc遺伝子の機能解析も進み、細胞内シグナル伝達系に対してがん遺伝子産物と競合的に働くことによってがん抑制に働くことが明らかとなった。
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