研究課題/領域番号 |
02151033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (50127114)
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研究分担者 |
渡辺 正己 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (20111768)
畑山 巧 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (10094484)
大塚 健三 愛知がんセンター研究所, 研究員 (40150213)
平岡 真寛 京都大学, 医学部, 講師 (70173218)
矢原 一郎 東京都臨床医学総合研究所, 部長 (60109957)
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キーワード | 温熱療法 / 熱ショック蛋白質 / 熱耐性 / がん細胞 |
研究概要 |
当研究班の目的は、温熱療法の際に出現する熱耐性の機構を探り、それを基礎として熱耐性誘導を抑えること、もって温熱療法のより効果的な運用方法を探ることにある。そのような目的のため、熱耐性を担っていると考えられる熱ショック蛋白質に焦点を絞り、熱ショック蛋白質の誘導機構、また熱ショック蛋白質の誘導阻止、および温熱感受性の修飾剤の効果を探ることを当面の目標にしている。 本年度の成果として、次のようなものがあげられる。 コラ-ゲンに結合能を持ち、細胞のトランスフォ-メイションに感受性を持つ新しい熱ショック蛋白質HSP47のcDNAのクロ-ニングがなされた。その結果、HSP47は細胞内小胞体への残留シグナルをもち、またプロテア-ゼ阻害剤のファミリ-である“セルピン"ファミリ-に属する蛋白質であることが明らかになった。 昨年度、植物フラボノイドの一種、ケルセチンが熱ショック蛋白質の誘導を阻害することを見出したが、本年度はさらに、ケルセチンが温熱耐性の誘導をも阻害することを確認した。この発見は、癌の温熱療法のより効果的な適用のために、貴重な示唆を与えるものである。 主要な熱ショック蛋白質であるHSP70の細胞内から核内への移行と、温熱耐性の誘導、および蛋白質合成能の回復がそれぞれ相関することが明らかになった。HSP70と共に、重要な熱ショック蛋白質であるHSP90について、αおよびβの二つのサブユニットが、それぞれホモダイマ-を形成していること、またHSP90には、カゼインキナ-ゼIIが複合体として結合しており、HSP90を燐酸化していることも明らかにされた。
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