HTLVーI抗体陽性者の長期追跡

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02151048
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 高月 清 熊本大学, 医学部, 教授 (80026830)
• 研究分担者: 三好 勇夫 高知医科大学, 教授 (30033088) ; 山口 一成 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20128325) ; 荒木 弘一 琉球大学, 医学部, 助教授 (40040604) ; 出雲 周二 鹿児島大学, 医学部, 講師 (30143811) ; 上平 憲 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (80108290)
• キーワード: ATL / HTLVーIキャリア / HAM / TSP / HLA / 母児感染 / 多発性筋炎 / HTLVーI感染Tリンパ球

研究概要

成人T細胞白血病(ATL)はレトロウィルスHTLVーI感染によって起こる疾患で九州、沖縄その他に多発している。多発地域ではHTLVーIのキャリアが多数存在する。本研究は日本国内の多発地域の臨床研究者と疫学専門家の合同により推進されているプロジェクトである。キャリアの一部が数十年という長い潜伏期間を経て発症することから、ウイルス感染以外に多くの因子がATLの発症に関与すると考えられている。本研究の目的は、HTLV抗体陽性者を長期間追跡することにより、感染から発症に至る間に生体内で進行する変化と、それに関与する因子を解析することにある。
本年度は、(1)HTLVーI抗体陽性者の長期追跡、(2)抗P40^<tax>抗体の意義、母児感染について、(3)沖縄県のATL発症状況、(4)生体内におけるHTLVーI感染Tリンパ球の特性の解析、(5)HTLVーI感染と末梢神経障害、(6)ATLとHAM/TSPのHLAタイプに連鎖した免疫機能の解析、(7)HTLVーI陽性率の経時変化のシミュレ-ション、(8)腎透析患者におけるHTLVーI抗体陽性率、(9)HTLVーI抗体陽性者にみられた多発性筋炎に関する研究、(10)日本以外のHTLVーI感染疫学およびATL、HAM/TSPの発症状況について

研究成果

• [文献書誌] Tajima,K.et al.: "The 4th nationーwide study of ATL in Japan.Estimate of risk of ATL and its geographical and clinical features." Int.J.Cancer. 45. 237-243 (1990)
• [文献書誌] Zaninovic,V.,Tajima,K.et al.: "Origins of T cell leukemia virus." Nature. 344. 299 (1990)
• [文献書誌] Momita,S.,Kamihira,S.et al.: "Survery of anti HTLVーI antibody in family members of patients with adult T cell leukemia." Jpn.J.Cancer Res.81. 844-889 (1990)
• [文献書誌] Watanabe,T.et al.: "Constitutive expression of parathyroid hormoneーrelated protein gene in human T cell leukemia virus type I (HTLVーI) carriers and ATL patients that can be transactivated by HTLVーI tax gene." J.Exp.Med.172. 759-765 (1990)
• [文献書誌] Yamaguchi,K.et al.: "Decrease of HTLVーI infection in hemodialysis patients after donor screening." Lancet. ii. 1070 (1990)
• [文献書誌] Oguma,S.: "Simulation of dynamic changes of human T cell leukemia virus type I carriage rates." Jpn.J.Cancer Res.81. 15-21 (1990)