研究課題/領域番号 |
02152031
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村山 芳武 東京大学, 医学部(分), 助手 (40219952)
|
研究分担者 |
額田 敏秀 東京大学, 医学部, 講師 (80189349)
原田 俊一 東京大学, 医学部(分), 助手 (70228641)
|
キーワード | 細胞周期 / 受容体ーG蛋白共役 / 脱共役 / 静止期細胞 / IGF受容体 / ras蛋白 |
研究概要 |
前年度までの成果として、我々は、IGFーII受容体がG蛋白の一つ、G_<iー2>に直接共役することを、再構成リボソ-ムを用いて証明した。本年度は、生きた細胞における増殖因子受容体シグナルの制御機構を知る目的で、まず、インタクトなBALB/c3T3細胞を用いて、IGFーII受容体が、実際にG_<iー2>の活性化に共役しているか否かを検討した。結果、IGFーIIが増殖促進に作用するG_1後期では、確かにIGFーII受容体刺激によって、G_<iー2>の活性化がみられた。同時に、IGFーI受容体も又、G_<iー2>の活性化を誘導することが明かとなった。次に、細胞周期制止の機構を知るため、静止期細胞で、IGFーII受容体ーG_<iー2>共役を調べると、両者は完全に脱共役状態にあった。同時に、IGFーI受容体ーG_<iー2>の共役も又、脱共役状態であることが判明した。IGFーIとIGFーIIが、BALB/c3T3細胞の唯一の増殖促進因子であることを考えると、細胞静止期導入と共に、増殖のシグナルは、受容体ーG蛋白共役のレベルで抑止されることが明らかとなった。我々は、更に、温度依存性ras蛋白を発現したBALB/c3T3細胞を用いて、静止期では脱共役していたIGFーII受容体ーG_<iー2>連関は共役状態に変わること、従って、IGFーII受容体、あるいはG_<iー2>のいずれかに、従来より不明とされてきたras蛋白作用のタ-ゲットがあることが判明した。今後、変異ras蛋白とIGFーII受容体ーG_<iー2>精製系を用いて、ras蛋白の分子作用機構を解明したい。
|