研究課題/領域番号 |
02152068
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
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研究分担者 |
藤井 茂 関西医科大学, 教養部, 講師 (60144482)
鈴木 敬一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (70221322)
西河 淳 大阪大学, 医学部, 助手 (30218127)
杉山 俊博 大阪大学, 医学部, 助教授 (00127242)
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キーワード | MnーSuperoxide Dismutase / Ovarian Cancer / Tumor marker / Tumor Necrosis Factor / Serum |
研究概要 |
0_2^ーの癌化における役割を検討する目的で、Superoxide Dismutase(SOD)のタンパクおよび遺伝子レベルでの発現を検索した。SODは0_2^ーを消去する酵素で、そのアイソザイムの1つであるMnーSODはミトコンドリアマトリックスに存在し、サイトカインとの関連においても注目されている。今回、ヒトMnーSODの大量精製法を確立し、結晶化に成功した。これを用いてモノクロ-ン抗体を作製したところそのエピト-プはC末端近傍のペプチドに存在した。また、本酵素はnativeにはtetramerとして存在することを明らかにした。ヒト癌組織での現現をELISAや免疫組織染色により観察すると、肝癌、卵巣癌、急性骨髄性白血病などで発現が著しい。ヒトでは血清にも出現し、上皮性卵巣癌の良いマ-カ-となる。卵巣癌患者の60%にMnーSODは高値を示し、従来用いられているCAー125に比し優れた腫瘍マ-カ-であることが明らかになった。また、ヒト上皮性卵巣癌組織でもmRNAの増大がみられた。また、ラットでも肝癌自然発症ラット(LECラット)では二相性のmRNAの発現がみられた。ラットMnーSODに対するポリクロ-ン抗体を作製し、免疫組織学的検討を行い、癌組織における発現をみた。MnーSODの遺伝子レベルおよびタンパクレベルでの発現機構を知るため、培養細胞でのTNFーαによる誘導を調べた。卵巣癌、急性骨髄性白血病、肺癌などの細胞株ではTNFーαが著しくMnーSODを誘導したが、Cu,ZnーSODの誘導はみられなかった。また、TNFに耐性な癌細胞では、既にTNF未処理で十分発現されており誘導はみられなかった。MnーSODの発現はILー1やTNFを分泌する癌細胞やマクロファ-ジの活性化により産生する0_2^ーの産生にadaptiveに発現するものと考えられる。
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