研究課題/領域番号 |
02152094
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大工原 恭 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40028733)
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研究分担者 |
坪内 博仁 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60145480)
中河 志朗 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70073666)
弘野 修一 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00181222)
新垣 尚捷 鹿児島大学, 歯学部, 講師 (60151148)
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キーワード | 増殖因子 / 肝細胞 / 細胞増殖 / 肝臓 / 脾臓 / サイトカイン / 肝疾患 |
研究概要 |
ヒトの肝細胞増殖因子(hHGF)は、ラットなどの実験動物のそれとは血中での存在様式が異なり、またラットやマウスのHGFは我々が調製したhHGFに対する抗体とも交差反応性を示さない。そこで本研究はhHGFに対する抗体と交差反応性を示すサル及びヒトの組織を用いて行った。なお、ヒトの組織は本学医学部附属病院での各種切除手術、病理解剖等で得られた新鮮材料、及びQueen Elizabeth病院(英国)の肝臓研究所(所長:P.McMaster教授)から提供された試料を用いた。その結果、1.hHGFに対する抗体を用いた免疫組織化学的検索では、正常サル及びヒトの脾臓、四塩化炭素投与サルの脾及び肝臓が染色され2.hHGFのcDNAをプロ-ブとしたNorthern blot解析でも上記の組織にhHGFのmRNAが検出されたが、四塩化炭素投与サルの肝臓では経時的に増加、反対に脾臓では正常に比べて減少した。3.mRNAが検出された臓器ホモジネ-ト上清を、研究代表者らが開発したhHGFのELISA法により定量したところ、hHGF活性のあることが確認された。以上の結果により、hHGFは肝障害時に脾臓から肝臓に移行し得る何らかの細胞が産生していると考えられ、hHGFは血液中の細胞が産生・分泌するサイトカイン様物質と推定される。現在in situハイブリダイゼ-ション及び種々の表面特異抗体を用いて、hHGF産生細胞を最終的に同定するべく実験中である。なお上記の結果は、ラットのHGFが血管内皮系の細胞で合成・分泌されているとする中村らの結果とは明らかに異なるものであることを付記する。 上記の研究と平行して、研究代表者らはhHGFに特異的なELISA法を開発し、診断薬としてのキットを、臨床応用に供すべく準備中である。さらに、hHGFのヒト肝細胞に対する影響、scatter factorとしての生理作用を明らかにすると共に、hHGF重鎖のアミノ酸同定にも成功した。
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