研究概要 |
再発・進行乳癌の末稍血造血幹細胞(PBSC):抗癌剤投与后の白血球減少が最低値となる回復する時期に,骨髄より末稍血中へ幹細胞が放出される。このPBSCを効取し,自己骨髄とともに骨髄再構築に利用する事を研究した。PBSCは末稍血中のCD34モノクロナ-ル抗体陽性細胞をTargetとして,その細胞が最も増加する時期を決定した。そして更にGーCSFを投与してPBSCのより効率的な採取の条件を研究した。その結果最低値から白血球数が平均2000/ulに回復した時が最適と決定され(通常2日后),4.5×10^4/KgのCFUーGM数で血液の再構築が可能であった。予め採取した自己骨髄,PBSC及びGーCSFの併用により,末稍血中の好中球数500/ul迄の回復に必要とした期間は約30日従来は必要であったのに対して5日間と著るしく短縮した。更に血小板数50×10^3/ul迄への回復も約40日から17日へと短縮し,よって次の記述する超大量化学療法は安全に実施可能となった。 超大量化学療法:Thiotepa 6mg/1Kg及びCyclophosphamide 60mg/Kgをそれぞれ3日間投与するA法,この2剤にVP16500ー600mg/m^23日間を加えたB法又はEpirubicin120ー210mg/m^2を加えたC法を,進行・再発乳癌の主として多剤耐性例に投与した。A法は5例中CR1例,DR3例で80%の有効率,B法は3例中CR1例,DR2例で全例有効,C法は9例中CR3例,DR5例で89%の有効率であった。 薬剤耐性関連遺伝子:P糖蛋白遺伝子(MDR1)の発現を乳癌手術材料で解析した。術前化学療法施行の57例ではMDR1の発現は1例もなく,更に術前化学療法施行の3例でも発現は認められなかった。
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