研究課題/領域番号 |
02152135
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮木 美知子 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学, 室長 (20085624)
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研究分担者 |
菊地 玲 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学, 研究員 (00224915)
関 まどか 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学, 研究員 (80226638)
田中 貴代子 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学, 研究員 (40124474)
岡本 美恵子 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学, 研究員 (80152354)
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キーワード | 大腸癌 / 大腸腺腫 / 家族性大腸腺腫症 / 癌抑制遺伝子 / 対立遺伝子欠失 / RFLP / 染色体移入 |
研究概要 |
家族性大腸腺腫症は患者の大腸に良性から悪性に亙る種々の進行度を示すポリ-プが多数見いだされるので、adenomaーcarcinoma sequenceを解析する上でも、また、イニシエ-ション→プロモ-ション→コンバ-ジョン→プログレッションを含む多段階発癌の過程を解析する上でも良いモデルと考えられる。病理組織学的診断により異型度が明らかにされた大腸ポリ-プおよび大腸癌について染色体5q,17p,18q,22qのヘテロ接合性消失(LOH)の頻度を調べた結果、腺腫の発生(イニシエ-ション)は5qのAPC遺伝子のヘテロ接合型変異によって起こり、腺腫の異型度の進行(プロモ-ション)にAPC遺伝子の不活化が関与し、腺腫から粘膜内癌への転換(コンバ-ジョン)に17pのLOHが関与し、さらに、18qおび22qに存在する癌抑制遺伝子の失活により癌の進展(プログレッション)が起こるという機序が推測された。 染色体17pの欠失部位に存在するp53遺伝子の変化を明らかにするため、17pに欠失を持つ腫瘍7例について、残存する方のp53遺伝子の構造異常を調べた。p53poly(A)RNAよりエキソン5ー8に相当するcDNAを合成し、PCR法によって増幅させ塩基配列を解析した結果、7例中7例全てに突然変異が検出された。この結果から対立遺伝子欠失と点突然変異によりその機能が失われ、癌への転換が進むと推測される。 次に、18番染色体の対立遺伝子欠失部位に存在するDCC遺伝子の一部が最近単離されたので、mRNAの発現レベルを調べたところ、浸潤癌12例中11例で正常粘膜に比べて著しい発現の低下が認められた。 一方、大腸癌培養細胞に正常細胞由来の単一染色体を移入したところ、5番または18番染色体によって増殖速度の低下、軟寒天中コロニ-形成率の低下が起こり、ヌ-ドマウスへの移植性が消失し、癌形質の抑制が起こることが分かった。
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