研究課題/領域番号 |
02201242
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60041670)
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研究分担者 |
小林 哲夫 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (70112430)
地頭薗 隆 鹿児島大学, 農学部, 助手 (50145455)
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キーワード | 火山噴火 / 桜島火山 / 細粒火砕物 / 土砂災害 / 表面流出 / 土石流 / 侵食 / 侵食速度 |
研究概要 |
本研究は、桜島火山を主要な対象地として、現在の小規模噴火と大正噴火のような大規模噴火により細粒火砕物の被覆が土砂災害に及ぼす影響について検討したものである。桜島の山腹及び河川において試験地を設け、表面流出量・侵食量・土石流の計測・観測を行う一方、現地調査と収集資料に基づいて、桜島火山とその周辺域におけるテフラの分布と粒度、桜島大正大噴火後の土砂災害の分布・形態・規模・発生期間・頻度等についての分析を行った。 1.火山灰に覆われた林地における表面流発生の限界降雨強度は1.5〜2.0(mm/10min)と非常に小さく、現在の降下火山灰は表土の浸透能を低下させ、表面流の発生を助長している。 2.表層の浸透能低下のもとで、桜島ではシ-ト・リル・ガリ侵食、すなわち表面流出に起因する侵食形態が卓越している。桜島の現活動下でのシ-ト・リル・ガリ侵食による年侵食速度は、93mm/yearである。 3.桜島の北側河川でのビデオ観測によると、土石流は累加雨量10mmの時10分間雨量4〜5mm、同様に20mmの時3〜4mm、30mmの時2〜3mmと少ない雨量で発生する。 4.桜島の大正大噴火では多量の降下火砕物がその南東部周辺域の大隅半島中央部を広く覆った。その堆積厚は数cmから1m以上に達した。最表層を覆った火砕物の推定粒径は、0.04〜0.09mmであり、現在の火山灰の粒径より小さい。これによって、同域では噴火後数年間にわたって土石流や洪水流による土砂・水災害が頻発した。注目すべきは冬場の少ない雨量でも土石流や洪水流が発生していることである。これは、被覆した細粒火砕物が、浸透能を大幅に低下させ、表面流出量を飛躍的に増大させたことによるものと考えられる。
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