多孔性で表面積の大きいゼオライトを修飾することにより、水中に溶存する微生物および有機物の同時除去を目的とした。ゼオライトとして用いたのは主としてホ-ジャサイトであり、四塩化珪素処理による脱アルミニウムを行い疎水性ゼオライトとした。さらに、遷移金属イオンを交換導入することにより、その殺菌作用を大腸菌をモデルにして調べた。 脱アルミニウムNa型ゼオライトのSi/AL比と単位表面積当りの水への浸漬熱を調べると、Si/Al比の増加と共に浸漬熱が減少し、疎水化が進行していることが明らかとなった。水中からの有機物吸着能はアニオン性、カチオン性、および非イオン性界面活性剤を用いて調べた。いずれの界面活性剤においても、未改質ゼオライトは水との親和性が高く吸着は全く起らないが、脱アルミニウムの進行と共に吸着能が発現する。ドデシル硫酸ナトリウムの場合にはSi/Al比にたいし吸着の極大があり、ゼオライトの親ー疎水性と吸着質の親ー疎水性(界面活性剤のHLBバランス)の寄与を示唆している。 Na型ゼオライトではSi/Al比にかかわらず殺菌特性は殆ど観察されないが、遷移金属イオン交換ゼオライトは殺菌性があり特に銀イオンで顕著である。銀の場合には交換量が1重量%以下でも強い殺菌作用を示し、担持ゼオライトのSi/Al比の影響は殆ど現れない。一方、コバルトの場合には、Si/Al比の高い方が殺菌作用が強く、大腸菌を包む細胞膜への疎水性ゼオライトの疎水性相互作用による膜破壊が殺菌に寄与していることを示している。また、殺菌には遷移金属の存在による「活性酸素」の生成が寄与することが示唆された。 ゼオライトのSi/Al比を高め疎水化し、また遷移金属イオン交換を行うと、水中の有害有機物の吸着には前者が寄与し殺菌特性には両者の相乗効果が寄与していることが明らかとなった。
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