研究概要 |
メタン発生量として大きな割合を占める稲作期間の水田からのCH_4発生量について、実際の水田で測定するとともに発生量に及ぼす肥料の影響を調査した。 (1)肥料の影響 測定は研究所内の実験圃場で行った。牛糞堆肥の施肥レベルの異なる8区画の有底枠水田(6.8m^2)と4区画の試験水田(100m^2)を設定し、それぞれについて水稲のある小区画について測定を行った。水田から大気へのCH_4の発生量は、水田の水面上にアクリル製のチャンバ-をかぶせて、その内部のCH_4の濃度の増加速度を求めることにより得た。Aは窒素系の化成肥料のみ、B〜Hはそれに牛糞堆肥を施したものである。C・B・E(F)・G・Hの順に6,5,13,26,39,65frkg/m^2の施肥レベルのものであるが、CH_4放出速度は、ほぼ施肥レベルに比例していた。 (2)実際の水田での測定 福岡県総合農業試験場の試験水田で、6月21日から9月12日まで10日に1回程度で9回調査を実施した。調査は13:30〜14:30に行い、CH_4発生速度、酸化環元電位、稲高、気温、田面水温度、土壌温度を測定した。6月21日から7月18日までは水田は湛水状態にあったが、7月25日から中干しで土壌は乾き、湛水状態になることが少なかった。CH_4発生速度の平均値は4.2mg/m^2・hr(0.1g/m^2・d)で、湛水状態が続いた7月18日までの平均値は8.88mg/m^2・hr(0.21g/m^2・d)であった。最高値は田植からほぼ1ヶ月の7月10日の20.5mg/m^2・hrで、この日は気温、土壌温度が高く、酸化環元電位も低かった。7月18日9:00〜19日9:00にCH_4発生速度を3時間毎に測定した。CH_4発生速度は10.2ー12.9mg/m_2・hrの範囲にあり、15時にわずかに高くなっているが、気温、土壌温度、田面水温度の変化にかかわらず、日内変化はほとんど見られなかった。
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