研究概要 |
IC関連産業などで使用される半金属化合物が産業装置などから漏洩または排出され空気中に拡散する状態を想定し,これらのガスの空気中濃度の簡昜測定法の開発を進めた。本研究ではジボランとスチビンを対象物質とし,これらのガスに対する高感度かつ現場測定に適した定量分析法として固体捕集法を中心として研究した。目的とする測定法の定量下限は労働環境における暴露限界濃度として勧告されている値(共に0.1ppm)の10の1とした。そのために次の項目について検討した。(1)吸着剤と吸収液の収集と基礎特性値(比表面積,ホウ素とアンチモン含有量)、(2)吸着剤の対象ガス吸着容量、(3)吸収液による対象ガスの吸収特性、(4)吸着剤の改質、(5)吸着剤に捕集したガスの定量的脱着条件、および(6)脱着液中のホウ素とアンチモンの定量分析法。 上記の検討から固体捕集法および分析法の最適な操作条件を次のように定めた。 【ジボラン】過マンガン酸カリウム添着シリカゲルを吸着剤としてジボランを捕集→塩酸ヒドロキシルアミン溶液で脱着→ICP脱着液中のホウ素を定量、またはクルクミン酸法による吸光光度法でホウ酸として定量。 【スチビン】過マンガン酸カリウム添着シリカゲルを吸着剤としてスチビンを捕集→塩酸ヒドロキシルアミン溶液で脱着→グラファイト炉原子吸光分析で脱着液中のアンチモンを定量。 ジボランとスチビンの吸着特性および吸収特性をシラン,ホスフィンおよびアルシンと比較検討した。また、ジボランとスチビンについて既報の固体捕集法についても追試を行い、問題点を明らかにした。
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