新分離操作開発による化学プロセスの高効率化

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02203102
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 只木 〓力 東北大学, 工学部, 教授 (20005226)
• 研究分担者: 橋本 伊織 京都大学, 工学部, 教授 (40026076) ; 佐田 栄三 京都大学, 工学部, 教授 (60023024) ; 石田 愈 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10016735) ; 板垣 乙未生 東北大学, 選鉱製錬研究所, 助教授 (80006048) ; 中塩 文行 九州大学, 工学部, 教授 (70037729)
• キーワード: 省エネルギ- / 分離プロセス

研究概要

化学工業におけるエネルギ-消費は極めて多大であり、その中でも分離工程の消費割合が高いとされている。ここでは、多数の分離操作が複雑に組み合わさっている、希土類元素およびバイオ生産物の製造プロセスに焦点をあて、その分離工程の高効率化をはかると共に、エネルギ-消費量の少ない新分離操作の開発を行い、以下の成果を得た。
(1)バストネサイト、ゼノタイム等をアルカリ水熱分解法し、希土元素の水酸化物を得ることに成功した。またその最適反応条件を明らかにした。
(2)液膜分離法におけるイットリウムと重希土類金属間の分離係数を大きく出来る種々のポリアミノカルボン酸型油溶性錯化剤を開発した。
(3)還元拡散法により水素吸・脱蔵能のあるニッケル-ミッシュメタル合金Ni_5Rmを合成し、その特性を測定した。
(4)溶離液の滞在時間を任意に設定可能な、マルチチャンネル定量ポンプを備えた新しい回転式環状連続イオン交換クロマト装置を試作した。
(5)擬似移動層を利用して3成分ないし4成分の原料を同時に分離するシステムを構成し、その特性をシミュレ-ションと実験の両面から求めた。
(6)ポリエチレングリコ-ル(PEG)/リン酸塩系の水性二相出系においてプロシオンブル-等の安価な合成色素修飾PEGをアフィニティリガンドとして微量添加したところ、パパインや各種脱水素酵素の分配係数を30倍程度増加させることに成功した。
(7)従来のアガロ-スや合成高分子の担体よりも機械的強度が高く粒子径の小さいシリカ担体に、その抗体を結合させたものを用いてアフィニティ分離を行い、試料の精製速度を従来法の2倍以上にした。
(8)異種分離操作からなるプロセスの合成法確立を目指して、目標及び使用可能な多種の分離操作が与えられた時、原理的に可能な分離システムをもれなく発生させるアルゴリズムの開発を行った。

研究成果

• [文献書誌] K.Kondo,H.Kawabata,K.Momota,N.Narikiyo and F.Nakashio: "Synergistic Extraction of Lanthanide Ions with Dibutylmonothiophosphoric Acid and 1,10ーPhenanthroline" J.Chem.Eng.Japan. 23. 228-233 (1990)
• [文献書誌] K.Itagaki,G.Qi,S.Mey and P.J.Spencer: "Evaluation of the Phase Diagram and Thermochemistry of the CuーV System" CALPHAD. 14. 377-384 (1990)
• [文献書誌] S.N.Zheng,T.Yonemoto and T.Tadaki: "ContinuousーFlow Electrophoresis for Concentration of Protein" J.Chem.Eng.Japan. 24. 62-68 (1991)
• [文献書誌] M.Ishida and C.C.Chuang: "Automatic Drawing of EnergyーUtilization Diagrams for Multiphase Processes" J.Chem.Eng.Japan. 23. 750-754 (1990)
• [文献書誌] E.Sada,S.Katoh and Y.Sohma: "Effects of Histidine Residues on Adsorption Equilibrium of Peptide Antibodies" Journal of Immunological Methods. 130. 33-37 (1990)
• [文献書誌] V.Lueprasitsakul,S.Hasebe,I.Hashimoto and T.Takamatsu: "Study of Energy Efficiency of a WettedーWall Distillation Column with Internal Heat Integration" J.Chem.Eng.Japan. 23. 580-587 (1990)