1 溶射粒子速度計測:Hybridプラズマ溶射(HYPS)における速度制御実現の有無を調べるべく、溶射粒子速度を高速流しカメラを用いて測定した。HYPSの粒子速度はDC入力を6〜11kWまで増加することにより40〜70m/sの範囲で制御し得ることが判明した。同様の方法で求めた高周波プラズマの粒子速度は約20m/sと一定であることから、Hyvbrid化により速度が2〜3.5倍増加したことになる。また速度分布を調べたところ粒径75μm、DC入力6kWの場合、平均速度46.1m/sに対して標準偏差5.6m/s程度のばらつきはあるものの、DCPSの報告と比べてかなり分布の幅が狭く均質な溶射層形成が可能であることが示された。 2 多目的チャンバ-開発:溶射膜に対する要求や基体形状の多用化に適合するため、新たなチャンバ-の開発を行った。これにより円筒型基体の適用、基体の高速回転・すりこぎ運動、溶射時の基体・フレ-ムの観察などが可能となった。 3 酸素プラズマの効果:SOFCの3層構造形成時に生じた問題の大部分は成膜を酸化雰囲気で行うことによって解決できると判断でき、今回Ar+O_2系のプラズマを導入した。Ar+H_2系の生じたNiOの還元・溶融の問題は、プラズマが酸化雰囲気になったことで解消した。またYSZ皮膜に生じていた酸素欠損も克服された。さらに熱分解が進行し熱処理によっても回復しなかった空気極皮膜もAr+O_2系を用いた場合、第二相が一部析出するものの電池使用温度の1000℃で1時間の熱処理を施すことによりLaCoO_3に完全に回復することが確認された。ただしYSZの緻密膜形成には多少問題があり、今後成膜時のO_2ガス濃度をはじめとする各種パラメタ-を再度検討する予定である。
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