研究概要 |
石炭は地球上の貴重な化石燃料であり,資源と環境の両面から高効率での利用が要求されている。そこで気流床の高温ガス化に際し石灰石を添加して灰分の融点を下げ,最適反応温度でガス化すると同時に,多量に石灰石を含んだ排出スラグのセメント材としての利用を検討した。 <(1) 気流床高温ガス化における石灰石添加の効果>___ー 石炭中の灰分の50%程度の石灰を添加した石炭を気流床ガス化炉に供給してガス化実験を行った結果,灰分の融点は100〜300℃低下し,著しい融点降下作用のあることがわかった。なお石炭に添加した石灰石の65%はスラグ中に取込まれ,Ca主体の鉱物組成に変化している。 <(2) 溶融スラグの高温安定性>___ー 石灰石を添加したスラグの融点が何故低下するのか,また高温で安定な鉱物組成はどのようなものであるのか,を検討するため,Al_2O_3・SiO_2・FeO・CaO4成分系における結合エネルギの熱力学的計算を行い,これより融点を推定して実測値との比較を行った。両者はよく一致している。 <(3) 排出スラグのセメント化試験>___ー 石灰石を添加した排出スラグを粉砕して刺激剤のCa(DH)_2,CaSO_4・2H_2Oを加え,水と混錬した後40℃,28日間養生して水和反応率,圧縮強度を測定してセメント材評価を行った。本スラグは高炉セメントと同等である。 <(4) 高温下に於る石炭粒子の反応性>___ー 石炭粒子の反応機構を明らかにするため直径10mm,2g程度の石炭粒子を超音波センサ-の熱天秤にかけ,1000〜1500℃に加熱して粒子断面の反応模様を観察した。粒子は表面より灰分,灰分・未反応炭,未反応炭・灰分,未反応炭の4層に分けられ従来の反応モデルと相当違っている。 <(5) 石炭マセラルの高温反応性>___ー 石炭をマセラル別に分け,熱天秤で反応性を評価し反応速度との相関を求めた。
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