研究概要 |
中小温度差サイクルの効率向上において,有機一水混合冷媒の使用が考えられる。本研究は,二成分不溶性混合冷媒の凝縮熱伝達を,伝熱面形状・姿勢,混合蒸気の種類・組成,および操作条件(温度差,圧力,流速)などと関連づけて追究するものであり,今年度は以下の成果を得た。 (1).共沸組成での二成分不溶性蒸気の凝縮は,有機物の膜状と水の滴状凝縮からなる膜滴混在を基本とし,滴の成長による離脱・流下,さらには,連続的離脱による筋流としての動挙動をとる。非共沸組成で蒸気・壁面温度差△Tが小さい場合には,共沸点を境にどちらか一方のみからなる単成分の膜状凝縮となり,他成分は拡散抵抗層として非凝縮性気体の振舞いを示す。△Tがある値以上になると,共沸組成で見られたと同様に,2成分による複合的な凝縮となる。 (2).共沸組成で温度差の小さい範囲では凝縮量が少なく,水の付着滴と有機物の流動液膜の混在した状態が比較的安定に実現され,水滴の存在が熱的な抵抗となるばかりではなく液膜の流動抵抗となる。温度差が大きくなると,水滴の離脱頻度が高くなるため間欠的な掃除作用による表面の更新が実現され,熱伝達率が増加する。さらに,温度差△T=50K以上の範囲においては,筋流としての液膜流で伝熱面が覆われるため熱伝達率は抵下する。 (3).フィン付き面での二成分不溶性混合蒸気の凝縮は,基本的には平滑平面の場合と同じであるが,膜滴混在の形態はフィン側面での水滴と谷部への液膜流の偏在で特徴づけられ,さらに両者の午渉として理解されてきた筋流は谷部に拘束されたものとなる。熱伝達率については,表面積の増加,表面張力にもとづく液排除に加えて,付着滴の離脱・掃除効果が優れているため平滑面に比してより大きな値となる。
|