研究概要 |
ファインセラミックスの特性を利用し,多種の燃料が使用可能で熱効率が高い熱機関として,セラミックガスタ-ビン(以下CGTという)の開発を実施することにより,小型発電システムの開発が推進され,ひいては,コ-ジェネレ-ションシステム(以下CGSという)等のより高効率なエネルギ-システムの開発が可能になる等,省エネルギ-,燃料の多様化,省資源,さらには環境適合性等に資することができる。 本研究は以上の認識のもとに,CGTを用いたCGSの特性を熱力学的ならびに経済的な観点から評価し,具体的な提言を行おうとするものである。すなわち,研究の前半においては,全員荷運転重視のCGTを対象として全体システムとしてのサイクル計算を実施し,熱力学的な特性を明らかにした。研究の後半においては,上記システムを実際の建物に導入した場合に,実機運転に近い状態での年間(8,760時間)にわたるシミュレ-ションを実施し,従来のシステム(電動タ-ボ冷凍機十蒸気ボイラ)と比較して省エネルギ-性及び経済性を試算した。 結果を要約して次の結論を得た。 (1)高温のCGT排気の持つ排熱をボイラで回収することにより,約78%に及ぶ高い熱利用率を得ることができる。熱利用率は熱/出力比の低下に伴って減少する。 (2)熱利用率に及ぼす排熱回収の限界温度の影響は顕著である。良質の燃料を用いて低温腐蝕問題を避ければ,熱利用率は85%を超える高い値を得ることができる。 (3)本システムを事務所ならびに店舗に導入し経済性を試算した結果,経済的に有利(単純投資回収年数5年以下)な場合があり,潜在市場があるものと考えられる。
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