研究概要 |
1)ZnS:Tm発光の研究 ZnS:Tmは478nmに発光し、純度のよい青色電場発光用材料として知られているが、その効率はよくない。従ってLiやCuの如き1価の不純物を導入して、効率を上げる研究を進めている。まずZnS自身の欠陥も重大な寄与をするので、ZnSに種々の量のTmをド-プした蛍光体の吸収と発光の製法や熱処理による依存性を調べた。その結果Tmのみの純度のよい青色発光を得るためにはSの空孔が少ないことが肝要であることが判明した。 2)SrS:CeにおけるCuコド-パントの効率 SrS:Cu,SrS:Ce及びSrS:Ce,Cuの三種の青色発光層を用いた薄膜交流EL素子の電気光学特性を測定し、SrS:CeよりもSrS:Ce,Cuが2倍の輝度を示していることからCuの共付活剤としての効果を確認した。またこの膜中でのCe,Cuの深さ方向への分布をSIMSにより解析した。Ceは均一に分布しているが、Cuは発光層内部よりもSiO_2との界面に多く分布し、導電相を形成して電子源として働き、Cu共付活による高輝度化の原因となっていることが予想される。 3)ECRプラズマMOCVD法によるZnSの低温成長 ECRにより水素プラズマを生成し、これを用いたMOCVD法により、非晶質石英基板上にZnS薄膜の低温成長を行い、さらにMnを導入してELの基礎実験を行った。200℃の低温にても石英基板上に[001]方向に強く配向したZnS薄膜が得られ、マイクロ波電力の増加によって非晶質基板上の成長初期においても良好な結晶性が認められた。同様な成長条件でMnをド-プしたものでも、Mnによる橙色発光が測定された。
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