研究概要 |
新しいタイプの親水性のモノマ-及びそのポリマ-を合成し、モノマ-の細胞毒性、ポリマ-の溶解性・含水率・水に対する接触角・細胞の応答を検討した。モノマ-としては、Nー(2ーメタクリロイルオキシエチル)ー2ーピロリドン(MEP)、Nーメタクリロイルオキシエチルアセタミド(MEA)、NーメチルーNーメタクリロイルオキシエチルアセタミド(MMEA)を合成した。これらモノマ-の細胞毒性は、MEPが最も弱く、次いでMMEA,MEAの順であった。今年度はおもにMEPとメチルメタクリレ-ト(MMA)との共重合体を合成しその性質を調べた。MEPを80モル%以上含むポリマ-は水、メタノ-ル,クロロホルム等に溶解した。水不溶性ポリマ-の含水率は5ー85%程度のものが得られた。接触角は23ー55度を示し、MEPの増加と共に接触角は直線的に減少した。水溶性ポリマ-の水溶液は室温では透明であったが、加熱により白濁し、この現象は可逆的であった。この変化の起こる温度は29ー51℃で、MEPの増加と共に高温側に移動した。ここで得られた含水率がある程度以上大きなポリマ-では細胞は非常に付着しにくく、これまで我々が行っていた方法では細胞の付着、増殖性を評価することはできなかった。そこで、顕微鏡用ビデオシステム/タイムラプスVTRを利用してポリマ-上での細胞の動きを観察した。MEPが増加するほど細胞が付着しにくくなる様子が認められたが、定量的デ-タとするには至っていない。いずれにせよ、親水性ゲルに対する細胞の挙動に一致していた。MEA,MMEAについてもMMAとの共重合体を合成してその性質を検討中である。さらに、メチル2ーメタクリロイルオキシエチルスルホキシドも合成しており、ピロリドン、アセタミド、スルホキシドという極性基を有する親水性ポリマ-がそろうことになり、それらに対する細胞の応答の比較が可能となる。
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