研究課題/領域番号 |
02205058
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
湯川 夏夫 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00023036)
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研究分担者 |
江崎 尚和 豊橋技術科学大学, 工作センター, 助手 (80160357)
村田 純教 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10144213)
森永 正彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50126950)
川上 正博 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30016597)
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キーワード | 水素過電圧 / 遷移金属合金 / 耐食機能 / DVーXαクラスタ-法 / 電子構造 |
研究概要 |
金属および合金の耐食機能を理解する上で重要となる因子のひとつに、表面での水素発生反応の起こり易さを表す水素過電圧がある。これまでに、遷移金属合金の水素過電圧は、ある一定の規則に従って変化することが明らかになっている。すなわち、母金属の周期表の位置より左側の元素を添加しても、合金の水素過電圧はほとんど変化しない。これに対して、右側の元素を添加した場合には大きく変化し、そのときの変化には合金元素が純金属の場合に示す水素過電圧の特徴が強く現れてくる。この理由について、合金の電子構造から検討を行った。合金としては代表的な遷移金属であるチタン、鉄およびニッケルを母金属とし、3d遷移金属を合金化した場合の電子構造をDVーXαクラスタ-法で計算した。その結果、上記のような特性は合金中で起こる電荷移行を考えることにより理解できることがわかった。すなわち、周期表で左側に位置するチタンの合金では、母金属チタンから合金元素側に電子の移行が起こり、合金元素はすべて負のイオン性をもつ。水素発生反応は、金属表面から水素イオンに電子を与える反応であることから、過剰に電子をもった合金元素の周辺で起こり易くなる。その結果、合金の水素過電圧には合金元素自身の特徴が現れる。一方、鉄およびニッケル合金では、母金属より左側の元素を添加した場合、合金元素から母相へ電荷移行が起こる。このため、母相自身が水素発生サイトとなり、合金添加による水素過電圧の変化はない。これに対して、右側の元素はすべて負のイオン性をもち、合金元素自身が水素発生サイトとなるため、水素過電圧に変化が現れる。この他、計算で得られたフェルミ準位も、遷移金属合金の水素過電圧と相関のあることが明らかとなった。
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