研究課題/領域番号 |
02205065
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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研究分担者 |
御崎 洋二 京都大学, 工学部, 助手 (90202340)
立花 明知 京都大学, 工学部, 講師 (40135463)
田中 一義 京都大学, 工学部, 助教授 (90155119)
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キーワード | 高温超伝導体 / 量子化学 / 導電性ポリマ- / ド-ピング効果 / 振電相互作用 / ク-パ-対 / 電子間引力的相互作用 / 非断熱遷移 |
研究概要 |
主な研究成果を以下、個条書きに述べる。(1)ヘテロ原子及び三重結合を持つポリマ-の構造単位モデルとポリアセチレンのモデルであるtransーブタジエンとの比較を行った。構造単位モデルのHOMOー1とHOMOとの間の電子散乱過程に注目すると、ポリアセチレンのーNHー,ーOー置換体はポリtransーブチジエンよりも大きな振電相互作用が得られた。(2)ポリアセチレンのケイ素置換体の構造単位モデルとして、シレンとジシレンを選び、エチレンとの比較を行った。炭素をケイ素に置換すると酸化が容易になる傾向が見られた。さらに、シレンでは分子面内のσー型とπー型の軌道が接近し、これらの軌道間の電子散乱過程に大きな引力的相互作用が見いだされた。(3)近年BEDTーTTF機超伝導体で重水素置換による転移温度の上昇が報告されている。これに関して、TTF分子のHOMOー1とHOMOとの間の振電相互作用に関する同位体効果を検討したところ、重水素置換による基準振動座標の変形によって、振電相互作用が増大する振動モ-ドが見いだされた。(4)ヘテロ原子が置換したポリアセチレンのモデルである(AB)_N鎖における超伝導性振電相互作用をモデルハミルトニアンを用いて議論した。サイト間電子移動積分の振動座標微分に加えて、振動による原子分極効果の重要性を見いだした。これを、ド-プしたポリアセチレンの問題に適用したところ、関与する電子軌道と振動モ-ドとの間に顕著な選択則が見いだされ、その寄与はp型とn型ド-ピングとで異なることが見いだされた。(5)超伝導性振電相互作用は分子振動を介した電子の非断熱遷移過程によってもたらされるが、ド-プしたポリアセチレンの鎖間伝導の問題においても電子移動は非断熱遷移過程によってもたらされ、遷移エネルギ-、反応のポテンシャル障壁の高さ及びポテンシャル面の形状に依存することがわかった。
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